ハリポタ短編 | ナノ
手が熱い。それもそのはず。僕の手となまえの手は繋がってるから。
僕はスリザリンに入って、この学校で気をつけなければいけないことを3つ聞いた。
1つ目は禁じられた森に入ってはいけないこと。
2つ目は汚れた血と交わるとろくな目に合わないこと。
3つ目はグリフィンドールの双子に絡まれないこと。
最後の3つ目に関しては最初意味がわからなかったが、ホグワーツに3年もいるとまぁよく理解できた。ウィーズリーの双子は休み時間になるとよく中庭で何かイロイロなものを売っている。鼻水なんとか、とか、惚れ薬だとか。絡まれた生徒はたいていのやつが買わされてるし、スリザリンの奴らが気をつけているのもわかる。
僕はグリフィンドールのやつらと絡む気はさらさらないが、一応用心にこしたことはない。そう思えた。
スリザリンであの双子と絡むやつなんてあいつぐらいだろ。そう心で思ってそいつを見た。ヘラヘラと笑っているのはなまえ・みょうじ。スリザリンらしくない女子三年間連続No.1に輝くアホだ。パーキンソン曰く『天然』という部類に入るらしい。
なんにせよ顔が愛され顔で、女子にも男子にもモテるもんだから、ハブにされるとかイジメられるとかはない。いじめっ子であるパーキンソンですら、なまえは好きな子になってしまうらしい。
確かに僕も嫌いではない。顔は僕の好みだし、頭も悪くない、それに純血だし、なまえは何より優しい。
ほら僕が考え事をしてると思って近づいてきた。
「ドラコ何考えてんの?」
「…なんでお前、ウィーズリーの双子と絡めるんだ?」
「なんでって?いい人たちよ。無理矢理商品売り付けてくるけど、楽しいし」
「…お前の場合誰でも優しいんだろ?」
「ううん。誰でもじゃないよ」
「じゃあ誰だったら優しくないんだよ?」
「しいて言うならドラコかな」
そう言われた瞬間座っていたソファーから落っこちてしまった。ドスンと音がするとなまえは大丈夫?死んでない?と声をかけてくる。
「大丈夫だし、死んでもいない。おいなまえ!」
「はい。私はなまえですよ」
「なぜ僕は優しくないんだ!?」
「だってこの間ハリーポッターの悪口言ってたじゃない。私、悪口言う人は嫌いなのよ」
「パーキンソンやノットだって悪口言ってるだろ?」
「聞いたことないわ」
畜生あいつら。なまえに嫌われないように猫かぶってやがる。
「だからドラコ嫌い」
「じゃあなんで今僕と話しをしているんだ?」
「…わかんない」
「はぁ???」
「なんかわかんないけど、ドラコといると楽しくて、嬉しいの。不思議だわ」
「・・・おい、それって…」
「なまえー、一緒にトイレ行こ」
「あ、うん行く!!」
そう言うとなまえはパーキンソンに手を引かれて行ってしまった。
頭の中を整理して考えてみた。自惚れるわけではないが、なまえは僕が好きだと思う。そう考えると体がどんどん熱くなる。
それから一週間たった日、僕は珍しく中庭を歩くと、噂に聞くウィーズリーの双子が商品を並べているのを見た。僕は横を通り過ぎようと思ったが視界にあるものが入って止まってしまった。
なまえがいたのだ。
フレッドだかジョージだかわからないが、なまえが二人のどちらかに手を引かれていた。
それを見た僕の体は勝手に動いていて、いつの間にか双子からなまえをさらっていて、いつの間にか寮までなまえを連れてきていた。
繋ぎっぱなしの手を思い出してパッと放せば、重たい沈黙に襲われたが、なまえはそれを壊した。
「なんで私をここまで連れてきたの?」
キョトンとするなまえにドラコは腹をくくった。なまえに遠回しな言い方では伝わらない。ハッキリ言わなければ意味はないのだ。
「なまえ」
「なに?」
「好きだ」
「・・・」
「意味わかるか?」
「わかるよ。わからないのは私自身なの。ドラコが嫌いなはずなのに、私今凄く嬉しい。さっき手を繋いだ時も、胸が痛かったし…なんでかな?」
「それはお前が僕のこと好きって意味だよ」
「そうなのかな?」
「たぶんな」
なまえはそうかそうかと頷いて顔を上げた。顔が赤い。
「そっか、ドラコのこと好きなんだ。じゃあ両想いだね」
「付き合ってみるか?」
「うん、付き合ってみる」
たんたんと進んでしまったが僕の心は絶頂だった。嬉しくて嬉しくて今にもなまえを抱きしめてしまいそうだった。なまえはうーん、と悩んで僕に尋ねた。
「ねぇ、なんで私をここまで連れてきたの?」
僕はそう尋ねるなまえの肩を引き寄せて耳元で言ってやった。
僕は嫉妬深い男なんだよ。
・天然女子スリザリン
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