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「あ、おはようアリア。話合いどうだった?」

「いいステファニー、あいつはクソったれよ。もう二度と会話しない」


えぇぇ…とステファニーが困り果てた表情をすると、アリアはローファーを放り投げてベッドにダイブし、ブランケットを頭までかけて眠ってしまった。ルームメイトが何事?と声を掛けるが、ステファニーは訳がわからない。


「アリアどうしたの?」

「多分、喧嘩かなぁ?」

「誰と」


言えないわよ!そう言ってステファニーは部屋のドアを勢いよく開けて出ていってしまった。残ったルームメイトはマルフォイ絡みじゃない?とヒソヒソ言っているが、アリアには筒抜けだった。


ーーー

昼頃起きたアリアの気分は最悪だった。お腹は空いているし、頭も痛い。幸い部屋に誰もいないのが救いだった。

部屋の共同テーブルに置かれた手鏡を見る。顔が死んでいる。まだまだ若い10歳なのにあんまりな顔だ。おばあちゃんが言ってた。鏡の中のありのままの自分を愛してあげなさいって。でもこれは無理よ。


「最悪…」

「あ…」


ステファニーが部屋の入り口にいた。こっちを見て立ち止まっている。


「おはようアリア。これ持ってきたんだけど」


ステファニーが持っていたのはバケットだ。パンやフルーツが入っている。鏡の隣に置いて、ステファニーは近くのベッドに腰掛けた。


「あなた本当にいい子ね。ハッフルパフにも入れちゃいそう」

「ううんそんなことないよ。だってこのパン誰から奪ったと思う?」

「?」


部屋には二人しかいないというのにステファニーはアリアの耳元へ近づき、そっと囁いた。


「ドラコ・マルフォイ」

「…ぷ…アハハ!ステファニーあなたって最高!!」


でしょう?と、悪そうな顔をしてキメ顔をするのでアリアはお腹を抱えて笑った。気分が晴れ、元気が湧いてくる。美味しいパンを食べて、午後は中庭にでも行こうと思えた。



(あなたってほんと最高よ)

ーーー

「ドラコどうしたの?」


パンジーが冷や汗をかきながらマルフォイに尋ねた。ここは大広間。多くの生徒が屋敷僕の作るご馳走に舌を打ち、嬉しそうに食べている中、一人だけ怒りオーラ全開でフォークをテーブルに叩きつけていた。


「どうしたもこうしたもあるか。アリアはどこにいる」

「今日はまだ見てないけど…」

「まだ部屋で寝てるわよ」


アリアのルームメイトがニヤニヤしながら口を挟む。その言葉に眉間の皺がさらに寄っていく。


「起こしてこいパーキンソン」

「え、いいけど」

「早くしろ聞きたいことがたくさんあるんでね」


パンジーはマルフォイの機嫌に耐えられず大広間から出ていった。ルームメイトはマルフォイの隣に座り、まぁまぁと言いたげにプリンを差し出してくる。


「無駄よマルフォイ。アリアの怒りの原因はどうせあなただもの」

「あぁそうだろうね!ちなみに言っておくが僕の怒りの原因もあいつだ。お互いさまだと思わないか!?」


思いません。ルームメイトが白い目を向けていると、大広間の扉から噂の人物が入ってきた。スリザリンのテーブルの一番端にステファニーと座り、課題を広げている。マルフォイは怒っているのかブツブツ言っていてアリアが見えていない。

そんなアリアに近づく人がいた。
グリフィンドールのシェーマス・フィネガンだ。


「あ!シェーマスちょうど良かった!あなたに言いたいことが」

「留学するんだろ。仲良いと思ってたけど言ってくれないんだな」

「…今言おうとしてたんだけど」

「…え、あぁ。そうだったのか…ごめん。友達だと思ってたのに寂しいもんだと思っちゃって」

「私こそすぐに言えなくて。寮が違うと…ね。わかるでしょ?」


私はスリザリン。あなたはグリフィンドールだもの。と、アリアは寂しげに羽根ペンをいじった。シェーマスも、未だイライラをクラッブにぶつけるマルフォイや、グリフィンドールを蔑むような目で見る上級生を見てあぁと納得する。


「どこへ留学するんだ?」

「イルヴァーモーニーよ。アメリカにあるの。4年生の最初に戻るわ」

「2年か。長いな」

「案外あっという間かも。馬鹿げた噂もどうせなくなってるわ」

「…あぁあの告白の」


シェーマスが再びマルフォイへ視線を向けると、マルフォイもようやくアリアに気づいたのかガタン!と立ち上がった。


「あれ…本当なのか?」

「まさか!デタラメよ」


アリアが笑うと、シェーマスは、はぁよかった。と言ってため息を吐いた。ステファニーは、よかった?と首を傾げている。アリアがマルフォイに告白するとシェーマスに何か損なことでもあるのだろうか。それとも…

マルフォイが上級生を突き飛ばしながらズカズカと歩いてくる。厄介事はゴメンだと思い、アリアとステファニーには課題をかき集め席を立った。


「ごめんシェーマス。また話しましょ」

「あ、あぁ」

「おい!アリア!!」


マルフォイが席の隅にたどり着いた時には2人はもう大広間の外だった。あまりの逃げ足の速さにシェーマスが驚いていると、隣で立っているマルフォイがキッと睨んできた。


「お前アリアに何の話をした。シェーマス・フィネガン…」

「別に。お前には関係ないだろ」

「スリザリンに近づくな」


理不尽な言い分に呆れながら、シェーマスはまたグリフィンドールの席に歩いていった。

アリアから事実が聞けて良かったと思いながら。


(アリア逃げ足が早くて困るってマクゴナガル先生が言ってたわ)
(それ本当かよハーマイオニー)

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