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レディーがホグワーツへと着いた頃、マルフォイの屋敷には人さらいが来ていた。連れてきた人は三人。屋敷の外に出ていたベラトリックスがその者の顔を見るとこう呟いた。


「ドラコを呼ぶんだ…」


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懐かしい部屋の前に立つ。6年間はこの部屋で過ごしてきた。オルガと、他のルームメイト。大好きで楽しい時間がここにあった。ドアノブに手をかける。ゆっくり開く扉に、聞こえてきたのは静かな呼吸音だけだった。
それもそうだ。まだ朝にもならない夜中。寝ているのは当たり前だった。
眠るオルガの前に立ち、久々に見る親友の顔を見てホッとしたのか涙が一筋流れ落ちた。


無事でよかった。ただそれだけだ。


ふとオルガの手元を見ると握られている紙。その紙を取ると、それはオルガと二人で撮った写真だった。こうして毎晩握りしめていてくれたようだ。



「…ただいまオルガ」



レディーはそのままオルガのベッドに身を預けるようにして眠ってしまった。


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レディーがホグワーツに来なくなってもう半年が経とうとしている。音沙汰なくいなくなった友人は手紙も届かず、居場所もわからず、まして生きているかさえもわからなかった。

今までずっと一緒に過ごしてきた友人がいなくなって、私は酷く不安だった。ランドールに泣きついた日もあった。
毎日増える罰則。スリザリンだから少し甘いけど、でも一年生相手に磔の呪文をやらせたり、ホグワーツはおかしかった。レディーがいたらどうだったろうと、何度も彼女に幻想を抱いては居ない現実を突きつけられて苦しかった。

今日も写真を握りしめて眠る。どうか無事でいてほしいと願いながら、ゆっくりと眠った。


のだが、朝起きてみてどうだろう。目の前には自分のベッドに寄りかかりながら眠るレディーの姿。眠るルームメイトなど気にもせず私は大声をだして叫んでいた。



「…レディーー!!!」

「うわ!!!」



なに?と言いながらルームメイトも目を覚ました。そしてオルガと同じようにレディーを見て叫んだのだ。


「イヤーーー!」
「どうしてレディーがいるの!?」

「ちょっとみんな落ち着いてよ」


レディーが困惑しながらルームメイトをなだめようとすると、オルガがレディーの肩を掴んだ。なんだか怖い顔をしている。久しぶりに会えたのに、それはないだろというような表情。



「落ち着いて?」

「オ、オルガ?」

「落ち着けるわけないじゃない!急に学校に来なくなって連絡も取れないってなに!?私はずっとあなたのことを心配していたのにいきなり現れて落ち着いてってなによ!!!レディー・エジワール!あなたは最高に無鉄砲だわ!マルフォイを探しに行ったのかもしれないけど、どうして私を誘ってくれないのよ!私たち親友じゃない!寂しかったわ。毎晩泣いて泣いて泣いて!死んじゃったんじゃないかって…」

「…オルガ…」

「…生きてて…生きててよかった」



散々叫び散らしたあと、オルガはレディーに抱きついてわんわん泣き始めた。レディーはそんな親友の背中をさすりながら、私もよと呟き、落ち着くまでずっと抱きしめていた。


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「それじゃあ例のあの人の味方のふりを?」



ルームメイトがレディーに尋ねた。オルガはようやく落ち着いたようで呼吸も安定しベッドに座りながらレディーの話を聞いている。
レディーは部屋の友達に全てを話し、旅に出ていたわけと、これまでのことを伝えた。



「と、いうこと。だから暫くここにいるわ。ハリーポッターが来るまでは」

「ハリーポッターが戻ってきたらレディーどうなっちゃうの?」

「…これは私の推測でしかないけど、ハリーポッターが戻ってきたら戦いになると思うの。闇の軍団はホグワーツを攻めてくる」

「戦いになるって…私たちも…?」

「戦う勇気があるのなら」



全員が黙り込んでしまった後にオルガが小さな声を出した。きっととても勇気のいる一言だろう。拳は震え、眉も下がっている。それほどまでにスリザリンの生徒であっても闇は恐ろしいものなのだ。



「戦うわ」

「…頑張りましょうオルガ。私も戦う」

「私も!どこまで役に立てるかわからないけど…!」



ルームメイトも笑顔を見せた。皆このままの世界を放っておいてはいけないことは理解できているようだ。正直オルガは戦いに参加すると思っていたがルームメイトの二人はノリ気にはならないと思っていた。スリザリンの生徒はそもそも死喰い人を親に持つ子が多いためだ。



「ありがとうみんな…もしもホグワーツへ来てしまった時は頑張りましょう!」



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その日の夜の事だ。当たり前だが私がホグワーツに来たことで日中様々な生徒に驚かれた。ルーナやネビル、妹のアロマ。パンジーなんかは驚きすぎて顎が外れかけてた。
でも意外な反応だったのはランドールだった。喜びもせず、かといって驚きもせずにただ「久しぶり」と声を掛けて談話室から出て行ってしまったのだ。



「ランドール何かあったの?」

「…この間まではそんなことなかったのよ。レディーが居なくなったことを悲しんでいたし、マルフォイのことも心配していたわ」

「一体何が…」




(ねぇランドール)



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