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「レディー!レディー!朝よ起きなさい!!」

「ん゙ー」


目を開けると怒鳴りつけるオルガの姿が見えた。腰に手を当てて言う彼女は恐らくレディーを何度も起こしたのだろう、相当な剣幕だった。体を起こしてポケーとした顔で言った。


「そんなに怒鳴るとシワが増えるわよオルガ」


次の瞬間、オルガは軽いフットワークをかましたあとに、レディーの右顎に見事なアッパーをくらわせたのだ。


‐‐‐


日曜日の朝1番のマルフォイの顔は、大きな目を開かせて冷や汗をかく驚ききった顔だった。食べていたミートパイを置いたマルフォイは、斜め前に座っていたレディーへと体を向けた。


「お、おいエジワール。お前顔どうしたんだ?」


「どうしたもこうしたもないわよ…」

心配される原因は、朝オルガに殴られて赤くなった右顎のことだった。レディーは涙目になって顎を抑えながら答えるなか、オルガはそれを無視しもくもくとパンをもさぼっていた 。


「レディーがいけないのよ、私が起こしてあげてたのにシワが増えるだなんて」


ため息をついて頬を抑えるオルガを見て、マルフォイは思わずため息をついた。


「お前それは殴られて当然だぞ」


レディーは真顔のまま組んでいた脚を解いて立ち上がり、大きなテーブルを周りマルフォイの隣に座った。


「な、なんだ、いきなり隣に来て…」



若干顔に赤みを帯びたマルフォイに気づかずに、レディーはスーと息を吸い込みマルフォイの耳横で「バカ」と大声を出した。

キーンとする耳を押さえる。余程痛かったのか、マルフォイは思わず椅子から立ち上がった。


「お前何するんだいきなり!耳が悪くなるだろう!」

「あの朝起こされる辛さを知らない奴への成敗よ」


ケラケラと笑うレディーもまた立ち上がり、人差し指をマルフォイの顔にズイッと出した。高らかに笑うレディーにマルフォイは鼻で笑うと、先程まで耳横に置いていた手を解き、胸の前で組んで言った。


「何が成敗だ、昨日弱気になったエジワールがちょっとでも可愛いと思った僕が間違ってたな!!それに服だってマグルのものだしな!」


土曜、日曜日は授業がなく、私服を着ていていいので、レディーはオシャレな服を着たり、ヒールの高い靴をはいたり、アクセサリーを付けたりと、他の生徒よりもずっと目立った格好だった。
マルフォイ自身、オシャレをして可愛くなることに不満はなかったが、それがマグルの服と言うことが気に入らなかった。



「マグルの服は可愛くてオシャレだもの!」



レディーの顔は真っ赤だった。
マルフォイは『服のことを言われたことに腹を立て真っ赤になる程に怒っている』と思ったようだが、実際は『可愛かったと言われたこと』に対する赤面であり、それを見たオルガは「あらあら相変わらず純情ね」と言って笑った。


何回も告白されるような恋愛経験豊富な見た目だが、レディーは実際はまだ13歳の純情な少女だった。ましてマルフォイやランドールが普段近くにいるため、他の男子生徒はレディーを高嶺の花としか見ていなかった。告白をされたことも滅多になかったのだ。


「だいたい急に可愛いなんておかしいわよ、バカにしてるんでしょ」

「そ、そうに決まってるだろう」


と、マルフォイは自分まで恥ずかしくなり、さっき程言った言葉を訂正し、レディーからはようやく顔の熱が引けてきた。


「わ…わかってるわよ!」


と強気に言い、それ以上は何も反抗せずに、レディーは椅子に座り直し朝食を食べ始めた。

しかしレディーは、すぐに食べていたスープのスプーンを置いた。
そしてマルフォイへと体を向けて真剣な顔で問いたのだ。


「ねぇ、パンジーはどこ?」


いつもマルフォイの隣にいるはずのパーキンソンは、朝から見ていない。


(とっても嫌な予感がするのよ)
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