「散歩」
「こんにちは、柳さん」
「こんにちは、よろしくお願いします」
今日は、月に一度の名前の健康診断の日
調度部活が休みな柳は、名前を連れて動物病院まで来ていた
「相変わらずおとなしいわね−、名前ちゃん
あとは少し太ってくれると嬉しいわね
はい、終わりましたよ」
「そうですね、俺もそう思います
ありがとうございました」
名前を拾ったあの日から、何度も来ているここは、もう行き慣れた場所で
獣医さんとも気さくに話せる仲となった
「じゃあ、また来月ね」
元気もよく、体重があまり増えない事と、平均より少し体が小さい事以外は、体調に問題は無し
結果を聞き終え、来月の予約をした柳は、動物病院を出た
「さて、寄り道して帰ろうか、名前」
「みゃぁ−(うん!ねぇ、さっきの公園行こうよ!)」
東京にある猫専門の動物病院、普段は父が車を出してくれるのだが、今日は仕事の為、電車で来ている
お気に入りの鞄から顔を出した名前に、ふわりと微笑んだ柳は、少し散歩して帰る事にした
「あれ、柳さん!」
通り道にあった公園まで戻り、何処か名前を出してやれる場所がないか探していれば、後ろから聞き慣れた声に呼び止められた
「越前、不二」
声をかけたのは、最近合宿で会ったばかりの青学の二人
「やぁ、久しぶり、柳」
「東京来てたんスか」
私服姿の二人は、テニスバックを持っていて、どうやらテニスをしに来たらしい
「二人はこれからテニスか?」
「うん、柳も一緒に来るかい?」
柳と不二が話していれば、柳の持っている鞄をじっと見詰める越前
「ねぇ柳さん、それ、名前?」
二人が話しているのにも構わない越前は、もこもこ鞄を指さし、柳に問い掛けた
「ふ、越前、鞄をついてみろ」
まぁ、気付くだろうなとは思ったが
見上げる越前に、ふ、と微笑みそう返事をすれば、不思議そうな顔をする越前
とりあえず、言われた通りに鞄を指で押してみた
「…居るじゃん」
もさりと沈んだ指
途端に、ぱしっと何かに掴まれる
そのまま指を上に滑らせれば
「ふふ、名前も来てたんだね」
ぱーっと開かれた名前の手が、にょきりと飛び出した
「ふ、今日は名前の健康診断だったんだ」
飛び出した手の肉球を、柳が指でつんつんと触れば
もさりと鞄から顔を出した名前
「みゃぁ−(あれ、リョーマと不二だ!)」
ぴんと立った耳と、青い瞳
越前がふわふわと頬を撫でてやれば、名前は嬉しそうに目を細める
「名前を出してもいいが、移動するぞ?」
ちらりと越前を見てみれば、触り足りないといった表情で
柳の言葉により、それから芝生に移動して名前を外に出してやった
「みゃっ(うわっ!バッタ!!!」
最初こそごろんごろんと寝転がっていた名前だが、虫を見つけると、びくりと体をびくつかせ、近くにいた不二の膝に上がる
「ふふ、名前って虫ダメなのかい?」
「ふ、ああ」
近くにいたバッタを見つけ、びくつく名前を、不二がぽんぽんと撫でていれば
「みゃぁ(リョーマ?)」
今度は隣に座っていた越前が、名前を抱き上げ
ふわふわと手を握っていた
END
(で、柳さんいつになったら俺の家来てくれるんスか?)
(…そのうちにな)
::あとがき
碧様よりキリ番リクエスト
crazy for you番外編で、柳と散歩、越前と不二との絡みが見たい
とのことでしたので、書かせて頂きました
名前のみ心配性で溺愛な柳は健康診断とか欠かさず行ってそう、とか、獣医さんとは家の猫は〜話が弾むんだろうなという妄想がはびこります
今更ですが、不二くんと余り絡めていませんね…すみません
リョーマが独り占めするんです(`・ω・´)キリッ
や、ただたんに鞄から手を出した名前の肉球を触らせたかっただけです
お粗末様でした
碧様、キリ番報告、リクエストありがとうございました!
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