▼ 魅せてほしい
"魅せてほしい 夢の続きまで 世界──。"
───♪
満月の下、吟が響き渡る。
森の木々や水も、共鳴するかの様に風に揺られた。
月に照らされた青年の姿は、幻想的で美しい。
真夜中、吟に吊られ森に足を踏み入れた少年が一人。
しっかりとした足取りで、月に導かれるように奥へ、奥へと足を進める。
次第に聞こえていた吟はハッキリとしたものになり、川の辺へと辿り着いた。
少年が目にしたのは
下半身が魚のような形をした
美しいバケモノ。
歌が終わり、閉じていた瞳を開く。
海のように青い瞳に映ったものは、人間の子供。
綺麗な顔に驚愕の色が浮かぶ。
対して、少年は無表情のまま時雨を見ていた。
「はじめまして。」
これが鬼神と人魚の出会いだった。
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