麗かな霞の中で、


暖かな日差しに包まれた午後。うつらうつらと暖かさで眠くなり夢の中へと堕ちていくそうな名前は寝台の上に座りながら書物に目を通していた。集中力はもはやもうない。眠気との勝負といったところだろうか。
そんな時、ふわりと後ろから何かが覆いかぶさってきた。そっと優しくそれに包まれた名前は眠気と戦いながら呟く。

『…テン紅』

そう、名前を後ろから優しく包み込んだのはテン紅だった。彼の表情を見ることができないまま、彼女は膝上の書物に視線を落とす。

「眠いのか?」
『暖かいから』

そういった名前の髪にテン紅は指を通し梳いて遊ぶ。長い彼女の髪で遊ぶのは最近の彼の日課となっていた。名前はふあ、と小さく欠伸を噛み殺せばテン紅は鼻で笑う。

『…鼻で笑った』
「拗ねるな。お前が可愛いと思ったんだ」
『そーいうこと、普通に口に出さないで…』

「恥ずかしいでしょう…」と名前は少し頬を紅潮させれば、それに気づいたテン紅はそっと彼女の首元に顔を埋めた。名前はテン紅に背を預ける。

『…寝たら、怒る?』
「なんだ、」
『だって、今までずっと眠ってたから』

そう、彼女は神としての力を奪われてから約1ヶ月眠りについていた。そして目覚めたのもつい最近で、目覚めてからテン紅は名前につきっきりだった。

「…」
『テン、紅?』
「少しくらい、構わない。…側にいれるなら」
『…そっか』

頬が緩んだ名前にテン紅はそっと耳元に唇を寄せた。そして耳たぶに触れてそっと呟く。

「おやすみ、名前」
『おやすみなさい、テン紅…』

やがて眠りについた名前を抱きしめたまま、彼も眠りにつこうとする。そして一度目を閉じたが、ちらりと名前を覗き見てそっとその額に口づけをし、彼はもう一度瞳を閉じた。そして二人は幸せな眠りへとついたのだった。



11/11/03



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