全国大会を見に来いとアホベ(ココ重要)に言われたので来たけど、お前場所はちゃんと伝えておけよ。と名前は飲んでいた缶ジュースの缶をごみ箱に投げ入れた。



とりあえず、ありがと



 日程的なものすら聞いていなかった名前はぶらぶらと敷地内を歩く。あんなに大人数がいるっていうのに一人のユニフォームも見当たらないとはどういうことだと名前はまた溜息をついた。
 するとパコーンとテニスボールの音が聞こえて名前は足を止めた。そして音のする方へと足を向ければそこには珍しいユニフォームを着たテニス部員がいた。

『肌めっちゃくちゃ焼けてるわ…』

 ぽつり、と呟いた名前に相手は気づいたのだろうか、名前の方に振り向いた。驚いた様子はないが、作業に戻るつもりはないらしい。名前は暫く相手を見つめあった後、ふと視線を外して歩き出す。

「え、ちょっ…」
『なにか、御用でも?』
「や、別に…なんもないけど」
『ないなら別にいいじゃないですか。頑張って下さいねー』

 ひらひらーと手を振って去ろうとする名前は、一歩足を踏み出した瞬間、なぜか後ろへと引かれた。振り向けば先程の男子生徒が名前の腕を掴んでいた。

『だぁからなんか用でもあんですか?』
「やーの髪、ちゅらさんやっし」
…何語?
「うちなーぐち」
『うちなーぐち…? あ、沖縄』
「本土の奴はあんま通じないんだよな…」
『うん、何を言っているかさっぱりだった。なんて言ったの?』
…訳せない
意味ないな

「アナタの髪、とても綺麗ですねって言ったんですよ」

 突然背後から聞こえた声に、名前はびくりと肩を震わせた。振り返れば、コロネもといリーゼントが特徴の男子生徒が立っていた。

「えーしろー」
「甲斐クン。トイレからなかなか戻って来ないと思ったらこんなところで油売って…ゴーヤ食わすよ」
「うぐっ…」
『おー、日本語通じるーなんか新鮮』
「で、アナタはどちらさまでしょうか?」
『んーと…テニスの試合を見に来た人』
「単純明快でつまらない答えですね」
『名乗ったってわからんものを言ったって仕方ないでしょうが。じゃ、この辺で』

 そういって背を向けて歩き出した名前。するとある程度離れた所で「あ」と声を漏らして甲斐たちの方を振り向いた。

『綺麗っていってくれて、ありがと』

 珍しく微笑んだ名前に甲斐はなにやら驚いたらしく呆然としていた。名前はその様子に笑って去っていったのだった。



11/11/13

暴れん坊な遠野妹が比嘉でわちゃわちゃ@



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