▼第二十五夜 「声変わり」
そういや、下忍になってから久々にダチに会ったとき、こんなことがあった。
たまたま任務帰りにあったから、近くで団子でも買って、川原で少し話してたんだ。
進路が違ってると、お互い相手が何やってんのかなんてさっぱりでよ。
気がつくと日が暮れるまで話し込んでいた。
こうやってると昔に戻ったみたいだなァ…なんて言ってたら、ちょうどそいつの弟が通りかかった。
だけどダチを見るなりポカンとして、しばらく近づいてこようとしない。
匂いでいるのが分かってたから、お前もこっちにこいよって声かけたんだ。
昔はよく一緒に遊んでたから、遠慮する間柄でもねェ。
でもなかなか来ようとしない。
ダチがもう一度呼んだところで、ようやく来た。
けどやっぱりもじもじしている。
で、弟が言ったんだ。
兄ちゃん、その声どうしたの?
え、…と思った瞬間、ダチの声が急に低くなった。
――そうだ、そいつ、声変わりしてたんだった。
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