掌編小説 | ナノ


▼第十七夜 「黄昏れの教室」

そういえば…怖い話なのかは分かんないけど、アカデミーで不思議な体験をしたことがあったっけ。

オレがイルカ先生に怒られて、廊下に立たされてるときのことだった。
あの日は確か、野外実習の役割分担なんかを決める日で、クラスの皆がわいわいしていた。
にぎやかな声が聞こえるから、なんかよけーにバカらしくなったっていうか…。
もういいから帰っちまえって思ったときだった。

あれだけ聞こえていた声が、いっせいに消えたんだ。
イルカ先生が怒ったから静かになったとか、そんなレベルじゃねえ。
本当にぴたっと、なんの音も聞こえなくなった。

もしかしたら…あのとき寝ちまってたのかなぁ?
なんか思い返すたびに自信はなくなるんだけど、とにかくそのとき、不安になって教室のドアを開けてみたんだってばよ。

そしたら、中には誰もいなかった。
それどころか夕暮れの明かりが教室いっぱいに広がっていて、異様な雰囲気だった。
とっさに振り返ると、廊下から見える空は青いんだ。

やべぇ、変なとこ繋がっちまった。

そう思って勢いよくドアを閉めたら、今度はドアの向こうに人の気配がしたんだ。
おそるおそるもう一度開くと…イルカ先生がものすンげー顔で怒ってた。

――なあ、お前らはあの日のこと、どう記憶してるんだ?

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