▼いの)共に歩む仲間
目の前にチョウジの巨体がせまる。
「…キャア!」
腕で顔をガードするがほとんど意味がなかった。
まともに喰らった衝撃で、いのの身体は近くの川まで吹き飛ばされた。
心配した仲間がすぐに駆けつける。
ほとんど外傷はなかったが、呆気にとられたいのはしばらく立ち上がることができなかった。
アカデミーで同級生と戦わなかったチョウジが、こんなにも強いとは思わなかったのだ。
体格差はあるものの、動きが鈍いなら簡単に仕留められると高をくくっていた。
しかし現実はどうだ。
近距離はともかく、遠距離からクナイを投げたとしても、チョウジの勢いは衰えそうになかった。
シカマルの機転で影真似を使っていなければ、いののダメージはもっとひどいものだっただろう。
「おいお前、本当に大丈夫かよ?」
「しっかりして。立てる?」
ずぶ濡れになって座り込んだままのいのに、シカマルとチョウジが両側から手を差し伸べた。
ぐいと力強く立たせてくれる幼なじみは、いつの間にかこんなにも頼もしくなっていた。
ずっと、誰かの手を引くのはいのの役目だった。
だけどこの二人になら身体を預けて戦える。
いのは力強く手を握り返した。
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