▼ 肉食系女子 (1/10)
恋バナが好きな女の子たちは、私の視線の先に気がつくとこう言った。
「名前、それはないわ」
そして嘲笑混じりに軽い足取りで去っていく。
ライバルではないとほっとしたのなら、もうそっとしておいてくれればいいのに、と思う。
だけど次の日にはもう、クラス中に広まっていた。
――名前はチョウジが好きなんだって、と。
肉食系女子
「ないないない。マジでない。チョウジが相手ならいっそ、シカマルの方が何百倍もマシだって」
私があっけらかんと否定をすると、噂を広めた張本人は声を張り上げて対抗してきた。
「だってじーっとチョウジのこと見てたじゃない。好きじゃなかったらあんなに見ないって!」
そういう相手はサスケにご執心だ。
好きだからこそ、つい目で追ってしまう。
そんな乙女心は認めてあげるが、それを自分以外すべての人に適用されてはいい迷惑だ。
「昨日のは本当違うから。ただチョウジが――」
「チョウジが?」
「美味しそうなポテチを食べてたから」
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