ホームに降り立つ一人の青年


 なぜだろう。

 今日はやけに右腕が痛む――





 青年は、ホームに立っていた。

 金色の月が浮かび上がる深い緑色の夜空には、ぶら下がったよう揺れ動く星々達が落ちては消え、堕ちては消えを繰り返し、遠くに見える街の中や、またその奥に見える巨大な城のもとへと輝きを乗せては次々と吸い込まれていく。

 その国は、まるでテーマパークのようだった。

 ――ここは、どこだ……?

 誰もいないホームの上で、気が付けば彼は自然と辺りを見回していた。ここには客も車掌も、自分以外には誰もいない。

「………ネバーランド……?」

 古ぼけた看板を前に、青年は自然とその街の名前を口にしていた。

 言いどころの無い果てしない不安と不気味さだけが彼の周りに渦巻き、灯り一つ無い闇のような深淵の中に溶けていく。





 さぁ、遊ぼうよ。

 ここは大人が踏み入れてはならない僕らだけの聖域《いばしょ》。

 ――永遠の国、『ネバーランド』!




◇  



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