D a i l y
黒依×杉元(金カム) ※死の淵の人間の精神が飛んでくる場所の管理人な黒依さん ※追い返したりそのまま三途の川を渡らせたり ※ネタです 「…ここ、何処だ?」 杉元佐一は、目を覚ますと見知らぬ場所にいた。 極彩色の花に囲まれ、その少し向こうにはこれまた綺麗な川が見えた。 どうやら雑魚寝のような形で気を失っていたらしく、周囲を見渡すとなんとも異様な光景が広がっており、首を傾げた。 はて、ここはどこだろうか。 それよりも、自分はどうなったのだろうか。 知らない場所ではあるが、不思議と警戒心はない。 むしろ、暖かく良い香りが漂うここは、酷く心地が良かった。 さく、 ふと軽い物音が耳に届きそちらをみやると、これまた不思議な出で立ちをした子供の姿があった。 さらりと靡く、白銀の髪。 陶器のような、白い肌。 今まで出会ったことのない、人形のように整った美しい容姿に杉元は息を飲む。 体躯はしなやかで、どこか猫のような印象を受けた。 その人物は、やけに丈の長い白衣のような上着を羽織り、余った裾からちょこんと指先を出して気だるそうに欠伸をした。 『あれ、杉元佐一くん?また来たの?』 鈴のわうな綺麗な声で言うと、彼女は美しい赤い瞳に呆れを滲ませた。 『君、ここに来るの何回目?』 「君は?俺を知っているのか?ここは何だ?」 『ああ、このやり取りも何回目だろう… うん、知ってる知ってる。よぅくね。 ここは、此岸と彼岸の狭間だよ』 あっちに見える川は三途の川だから、勝手に渡らないでね。 渡ったら死んじゃうからーーー 彼女はやけに軽快な口調だった。 「はぁ?」 『ちなみに、君はここにはもう何十回と来てる。日清戦争、日露戦争…一体何回死にかければ気が済むんだか、僕には全く分からないよ』 「えええええ、ちょ、ちょっと待って! 何十回?ていうか、俺死んじゃったの!?」 『いや生きてる生きてる。あ、でも今回はほぼ死んでるかなーーー 頭撃ち抜かれて普通に生きてたら、流石に怖いよ。いくら不死身の杉元くんでも、ねぇ?』 彼女は驚愕する杉元を横目に、うんうんと頷きながら一人納得していた。 「帰らせて!今すぐ!」 『ダメ。今帰ったらそれこそ死ぬよ?此岸の君の体は脳の手術中。家永さんが色々弄くってるから、下手したらそれでお陀仏するかもね。ショックで』 「んなっ…!!!」 穏やかな表情で笑う彼女は、外見こそ天使のようだが言葉の端々に意地の悪さを感じさせた。 どうしろってんだ、冗談じゃない、と杉元は冷や汗を流す。 『僕は哀崎黒依。此岸と彼岸の狭間を管理してるんだ。 短い間だけど、どうぞよろしく』 とりあえず落ち着けるところでゆっくり話そうか、と彼女は杉元の手をとり、花畑の中に霞んで見える屋敷に向かって歩きだしたーーー… (君、尾形くんに撃たれてたね) (やっぱり尾形か……っ) (アシリパさん、すんごい君のこと心配してたよ) (アシリパさぁん……) (ちなみに此岸に戻ったらここでの出来事は忘れちゃうからね) 04.Dec.2018 [top] |
ジェームズ夢続編 「……なにやってるの?」 スリザリンの談話室から出ると、何故か奴がいた。 つまらなそうな顔をしていた奴は、私の姿を見るとパッと表情を明るくして、忠犬のように私のもとへ駆け寄ってきた。 「おはよう! 今日はいい天気だよ、一緒に散歩でもしないかい?」 「結構。生憎だけど、地下室からは外の天気なんか分からないわ」 つん、とそっけなく返せば、奴は「そういえばそうだった」と肩を落とした。 嫌みのつもりか、と思えないのは、落胆の影が明らかに見てとれるからだろう。 「じゃ、じゃあ、クィディッチの練習を観に行かないかい? 日の光で輝くスニッチは凄く綺麗だと思うな!」 「……私、クィディッチに興味ないのよ。何回も言ったと思うけれど」 「!ご、ごめん」 頬を紅潮させたかと思えば、私の言葉ひとつで顔色を変えるーーー まともなスリザリン生なら、どう思うのだろうか。 ここはスリザリン談話室のすぐ傍な訳で、もちろん早朝な訳で、要するにかなり人目につく場所である。 しかし、彼らは呆れたように一瞥しただけで、特に興味を示すことはなかった。 慣れだろう。 それくらい、グリフィンドールである奴が私に構いに来る頻度は高い。 「…梟小屋まで手紙を出しに行くの」 「?そうなのかい、」 溜め息を吐きながら呟いた私の意図が読めないのか、奴は首をかしげた。 「……まだ眠いから、何か話して頂戴」 (ジェームズの奴、またやってるぜ…) (ほんとだ、彼女もよく毎回相手してあげるよね。僕なら湖に突き落として大王イカの餌にしてやるのに) (まだあの女の方が温いのか) (何か言ったかいシリウス) (いいや何も) 02.May.2017 [top] |
魔法ジェームズ夢 「ねぇ、いつになったら僕を見てくれるんだい」 頬杖をつきながら退屈そうにこちらを見やる彼に、私は溜め息をついた。 「忘れられない人がいるの、だから無理よ」 「一番じゃなくてもいいんだ」 「他を当たって頂戴」 第一、私はスリザリンだ。 「駄目かい」 真剣に、熱のこもった視線が刺さる。 全く物好きもいるものだ。 「不毛よ」 私も。 目の前の彼も。 「もう別の世界のお話だもの」 にこりと彼に向かって微笑めば、訳がわからないというように彼は首をかしげた。 「なら、僕をその代わりにしてくれてもいいから」 「……は?どうしてそこまでするのよ」 「君が好きだからさ!」 「酔狂な人ね」 もっと自分を大切にしてくれる人を想えば良いのに、何度言っても彼は聞きやしない。 何度私が迷惑だと言っても諦めず、会えば名前を呼びながら、傍にスリザリン生がいても寄ってくる。 あんなにスリザリンを嫌っていたというのに、私は別なのか。 「いつか君に選ばれたらいいな、それが一番じゃなくても」 本当に、馬鹿な人だ。 * 魔法で転生夢、ジェームズ落ち。 ヒロインは優秀なスリザリン生。 惚れるジェームズ。 リリーをどうしようか悩んでいる(´・ω・`) 10.Jul.2016 [top] |