バーコード
【コンビニ店員】
黙々とバーコードを通すだけの時間。品だしや陳列などもあるけど、忙しい時間は基本的にレジうちだけである。
そんなコンビニのレジ担当、一色です。
「ぎゃはははは、なにやってんら!!」
「犬…うるさいよ…。」
なんか嫌な声が聞こえる。これは嫌な予感がする。来るなくるな、と祈りつつ自動ドアをちらりと見た。
「あ、本当にコンビニで働いてるびょん!一色、遊びに来てやったびょん!」
来るな!と心の中で叫ぶが如何せん仕事中の身。
「いらっしゃいませー。」
「…ごめん、一色…うるさくして」
「ちーくん、いえいえ。ゆっくりしていってねー。コンビニだけど。」
レジの中から丁寧に謝ってくる千種に笑って返す。
そんなことをしているとお客さんがレジに商品を持ってきた。
「いらっしゃいませー。」
「一色が裏声だびょん!」
「…ポイントカードお持ちですかー?…あ、ありがとうございます!619円になりますー。ポイントご利用されますか?」
「やる気のない声れす」
「ありがとうございますー。またお越しくださいませー。」
自動ドアが開いた音楽が流れる。
このコンビニには今店長と私、そして千種と犬だけになった。
そしてそのタイミングでレジに近づいてきた犬の商品を差し出す腕をつかみそして
「いででででででで!?!!?ななななにするびょん!?!!?!?」
悲痛な叫び声をあげる犬を睨み付ける私に、呆れたようにため息をつく千種。
「ちーくん、わんこのしつけはしっかりと!」
「誰がわんこだびょ「これ以上利口にはならない…」遮んな!つか何いってんら!」
さすが千種だ、話が合う、なんて思いながら彼の顔をみると視界に入るバーコード。
コンビニ店員としては。
「ピッ。」
なんて言いながら思わず千種の頬のバーコードにバーコードリーダーを当てた。
思わず吹き出す犬に静かに怒りを爆発させている千種に平謝りをする私が居た。
(バーコード)
だって気になるんだもん。