懐柔(猫と夢)




(みらいになればあなたのおもいびとはあなたのきらいなひととけっこんしてこどもをうんであなたはひとりになるの。)
(そしてあなたがつきしたがうふりをするれいのあのひとにころされてこどもはいきのこってあなたはひとりになるの。)

「ねぇセブルス」
「…」
「人は、賢いね」

知るというのは、怖い。
それ以上に、知らされるのは怖い。
彼の髪は陽光に当たる分だけ、賢い私を喉に詰まらせて、泣かせてみせるのだ。

(くるしんだあなたはいろんなひとをうらぎってきらわれてひとりになるの。)
(たえられないやみのなかそれでもあなたはかこのきぼうだけにすがりついていきのびてあなたはひとりになるの。)

「ねぇセブルス」
「…」
「人は、悲しいね」

触れる事すら叶わない恋とかいうものは、凍った空気と結ばれ合って、大きく分厚い壁になり、私を影で覆うらしい。

(あなたはあのやさしいまほうつかいをころしてにくまれてひとりになるの。)
(そしてねそしてひとりになるの。)

気付けた方がどんなにか幸せな未来なのか。けれど私は相変わらず、過去の希望にすがりついて生き延びて、目の前の小さな罪人に恋をしているのだ。

(みらいをいったらすきになる?)
(ばかねだってそれはあいじゃない。)



懐柔=上手く丸め込んで自分の思い通りに相手を従わせる事。
(あなたなりの愛で、いっぱいに)




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