死罪(百合)




貴方が生きて行けます様に。
精一杯の力を込めて抱き締めた。
いつもみたいにくしゃりと音を立て、今日の夜は久々にワインでも開けてゆっくりしようかと、同じ位にくしゃりと笑ってみせる貴方に、私は濡れた頬で同じ位に笑い返せたのかしら。

貴方が生きて行けます様に。
最後はやっぱり額へ落とされた口付けに、最早貴方が何処までも追い掛けては行けない場所へ行ってしまったのだと。
離せなかった左手を払ったのは、背中だけを向けて進む貴方の方だったかしら。

貴方が生きて行けます様に。
逃げられないことだと分かっている。
だから貴方に刻み込もうと願ったの。
貴方が生きて、生きて、生きて行けます様に。貴方が願った貴方の命を、私は命懸けで守るって決めたのだから。

貴方が貴方を愛せます様に。
貴方が歩いて行けます様に。
貴方が生きて行けます様に。
貴方が貴方を忘れます様に。



それが私に課せられた、死よりも重い罪だから、生きて欲しいと思ったの。
生き長らえた大切な人達が。
私の罪を何時までも忘れない様に。













「生きて」






(忘れて欲しいと願ったのは、
本当に貴方だったのかしら。)

死罪=死刑の罪。無礼極まりない態度。
(最後に気付いた大罪)



私は親世代に夢を見すぎてる









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