夜襲(犬と狼)
「満月なんて嫌いだ」
暗闇の宇宙の中孤独に生きるその衛星は不自然な程完璧な球形で、けれど発光しているからか肉眼では輪郭がぼやけて上手く見えない。全てを受け止めてくれるみたいな顔をして、結局は何もかもを受け流すだけの銀色に毒づいた。
「そうか?俺は好きだけどな」
鼻の頭についていたのか、土とも血とも判別しかねない汚れを指で削り取ってやる。ぶるりと身を震わせた彼に苦笑を見せて、銀灰はするりと惜しげ無く目を反らせて天上に視線を捧げる。
冷たくってでも温かいんだ、丁度お前みたいだな。屈託無く笑う顔の先にはやっぱり銀色の捻くれ者しか映って居ない。
彼さえも独占する暗闇の畔の天敵をもう一度睨み付けて、リーマスは彼が掛けてくれたローブに潜り込んだ。
夜襲=夜の闇を利用して敵を襲撃する事。
(地上のセレネ)
犬も狼も月っぽいイメージ。
鹿百合は太陽。猫と鼠は星。
ポタで何が大変かって表現に全く満月が使えない事。間違えてそうでハラハラ。
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