1/4

ふと、カレンダーに目をやる。


「……………。」

『…もうそんな時期か。』

「…うん。」

『早いものだな。』

「うん。」


とある日付に指を滑らせながら優は短く返事を返すだけだった。



『…今年も行くのか?』

「うん、明日で1週間前だし今日の夜には出るよ。」


三代目に休みもらわなきゃ、とカレンダーから指を離した。




それを聞いて烈火は苦虫を噛み潰したような顔をする。




『…もういいんじゃねェのか。』

「……………。」

『あれはゆうの責任じゃない、あいつらの自業自得だ。そこまでお前が自分を責める必要はない。』





烈火の言葉にただ珍しいな、と思った。

まるで自分を気遣っているような言い方をしたからだ。



少しだけ優の心がじんわりとした。






「…はは、烈火は優しいね。」


『……………。』


「大丈夫だよ。これは…あの出来事は私の人生最大の汚点だから。だからだよ。」






勘違いしないで、と儚げに。

それでもその笑みは美しい、と烈火は密かに思った。









「三代目ー。」


ノックをして返事を待たずに優は部屋に入る。

そこには三代目火影、ヒルゼンと…



「あれ?ナルトにカカシ…サスケにサクラも。」

「優じゃん!オッス!」

「おっす。サスケとサクラもおはよ。」

「…あァ。」

「おはよう優!」

「優、俺には?」

「はいはい、おはよカカシ。」


カカシの満足そうな笑顔に優はクスクス笑った。

年上だが彼のこうゆう子供っぽいところが可愛く思える。


「優!今日、任務終わったら修行付き合ってくれってばよ!」


ナルトは優に抱きつきながら、笑顔で言う。

すかさずサスケが怒鳴った。


「てめェナルト!優にベタベタしてんじゃねーよ!」

「へへーん!羨ましーんだろサスケ!」

「え?そうなの?じゃサスケもおいで!」

「んな…っ!バカ言ってんじゃねェ、このウスラトンカチ!!」


サスケは否定するが、赤くなった顔で言われても最早なんの意味もなかった。



「こらナルト。優は火影様に用があって来てんだから邪魔しなーいの。」


カカシが優からナルトをベリベリと引き剥がす。

ナルトはあー、と間抜けな声を出して優から離された。


「ごめんねー優。」

「いんや、ナルトは可愛いから許す。」


可愛いってゆーな!!と、ナルトから怒号が発せられた。




「優、どうしたのじゃ?お主から用とは珍しい…しかもこんな早くからとは。」


三代目が優に問う。


今は優に任務の依頼はない。

暇つぶしに来ることもあるが、今はまだ朝方だ。

故にわざわざ訪れた理由が分からなかった。


「あァ…三代目、お願いがあるんだけど。」

「ホ、ホ…珍しいのう、なんじゃ?」


欲がない優の言葉に三代目は微笑みながら聞き返す。




優は向き合って真剣な眼差しで三代目を見つめた。





「2週間、休みをくれない?」

「2週間?なにか用でも……、!」

「そう、2週間。」

「優、お主まさかまた……、」

「うん、あそこに行く。」




三代目はガタン、と立ち上がった。



「…もう必要ないと何度も言ったはずじゃろう。」

「そうだね、去年も言われたかな。」

「ならば何故!」

「三代目。」



優は眉をハの字に下げて苦笑する。





「…あんたがそんな顔する必要はないじゃん。」

「……………。」

「悪いけど何度言われようと私はあそこへ赴く…赴かなければならないんだ。」

「……………。」

「皆きっと思ってる、一生かけて罪を償えって。」

「誰もそんなことは言っておらん!!」

「言ってないけど思ってるんだって。」




prev next


 

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -