1/2 「ほら、あの子よ。」 「あれが九尾の子。」 「あの子には絶対近づいてはダメよ。」 1人寂しそうにブランコで佇む金髪の少年。 彼はいつも1人だった。 「少年、子供はもう家に帰る時間だぞ。」 私はそんな少年に話しかけた。 「………ほっといてくれってばよ。」 ギスギスとした声。 警戒するのは当然か。 「子供が1人で外を歩いていては危ない。私が家まで送ろう。」 「だからほっとけってばよ!」 「そうゆう訳にもいかない。」 私は少年の前で屈み、目線を合わせた。 「ほら、ブランコから降りろ。」 「……………。」 「…私はわがままな子供は好かん、早くしないと少々手荒に」 よく見たら少年の体は泥だらけだった。 小さい規模だが痣もある。 「………少年、それは誰にやられた。」 「……………。」 「先程の子供達か。」 「…っ。」 顔が歪んだ。 図星らしい。 今どきの子は意外と汚い手を使う。 「…しょうがねーんだってば。」 少年がポツリと漏らした。 「おれ、昔から皆にきらわれてんだってばよ…大人からは特に。なんでかは、わかんねーんだけど……。」 「そうか。」 「ねーちゃんもおれには近づかない方がいいってばよ、ねーちゃんもきらわれる…。」 九尾が封印されたことは知らないのか。 火影様も酷な方だ。 知っていた方がいくらか楽だったかもしれないのに。 「私のことなら気にするな。私も少年と同じような立場だ。」 「?ねーちゃんも…きらわれてんのか?」 「…まあそんなもんだ。」 嫌われている、というよりも妬まれてるという方が正しい。 弱冠13歳にして上忍。 様々な任務に赴き結果を残してきた。 当然火影様からの評価はいいし、上役や大名からも大きな信頼を寄せられている。 しかし、それが他の忍達は気に食わないらしい。 「私もいろいろな目に遭った。」 「……………。」 「ここだけの話、殺されかけたことだってあったんだぞ。」 「ええええ!!?」 毒薬を盛られたり、任務中に事故と見せかけて起爆札やクナイを投げられたり。 人とは恐ろしいものだ。 「しかしなんてことはない、言いたい奴には言わせておけばいい。」 「……………。」 「そんな下らん連中に付き合ってやる程私も暇じゃないのでな。」 少年は青い瞳で私を食い入るように見つめていた。 「少年も同じだぞ。」 「………え?」 「いちいちメソメソしてたら精神が持たないだろう、やられたらやり返すくらいの勢いでいろ。それと、そんなことで落ち込んでいる暇があったら少しでも強くなろうとしろ。」 はっきりと告げる。 少年は俯いてしまった。 少し言い過ぎたか…? いや、しかしこれくらい言わなければな。 [*前] [次#] |