年末ってやることないなーと思う。混雑した寺社を映すテレビをぼんやり眺めながら、炬燵でぬくぬくと暖まる。幸せだなあ。
「む、みかんラストだな」
「おい、みやたん」
「は!?なんで俺が!?」
嫌だよ寒いよというみやたんをしばらくジト目で見つめると、彼は根負けして面倒そうにキッチンに向かっていった。うん、いい子だな、みやたんは!
「すまぬの、ぐみや」
「いいよ、がく兄」
「ごめんねーみやたん」
「許さん、ぐみ」
「なんであたしだけ!」
「ま、まあまあ落ち着くでござる………」
みやたんが持ってきてくれたみかんをわこわこと剥きながら、再びテレビを見る。
画面の向こうでは、寒空のした大行列に並ぶ人々と、それを中継するアナウンサーの姿。見ているだけでも寒い。初詣なんてもうちょい明るくなってからいけばいいのに。
「年明けて早く詣るのがいいんだろ…」
「ちょ、人の心読まないでくれます」
「なんのことやら」
テレビに向いたまま呟くみやたん。言いたいことがあるならはっきり言えやー!このちんちくりんめ!
「む?ぐみは初詣行きたくないのか?」
あたしたちのやりとりを聞いていたがく兄が、不意に声を掛けてきた。
「うーん、まあ、寒いのはやだし……」
「俺は別にいつでもいいよ」
「そうか……」
「え、どしたのがく兄?」
あたしの問いに、がく兄は困ったように眉を下げ実はな、と
「年が明けたら、めいこ殿たちと初詣に行こうと約束していたんだが…」
ぐみが嫌ならやめるか、と炬燵から立とうとしたがく兄を私は素早く阻止した。
「ぐみ!?」
「行く!!!!」
「え?」
「行くともさ!!!」
「そ、そうか。ならもうすぐで年明けだから、すぐ出掛けられるようにしとくのだぞ」
「うん!」
「単純なやつ…」
うるさいな。
うるさいやつにはこうだ!
「イテ」
「あたし着替えてくる!」
「俺も着替えるか」
「ああ、暖かくするといいでござる」
「ああ」
2012年!
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