崩れ始めたのはどこからだったろうか。全然覚えていない。最初に出ていったのはミク姉たちだった。気がする。メイコ姉とミクオが喧嘩になって、ミク姉がそれを止めようとして、間に入ったらミクオがいきなりミク姉の腕をひっつかんで、大きな鞄にいろいろなものを詰めて出ていってしまった。玄関先でミク姉は少しだけ振り返ったが、ミクオは一切振り返らなかった。何もかも断ち切るように、あいつはミク姉1人連れて、俺たちの前から去った。メイコ姉は、呆気にとられて、しばらくの間動かなかった。

次に家を出たのはルカとルキだった。大学のほうで留学推薦がとれたというので、約2年間、向こうの大学で学ぶことになったのだ。向こうで運良く成功したら、そちらの大学のゼミ生になるそうだ。嬉しそうに報告しながら荷造りを始めるルカとルキに、メイコ姉は頑張ってきなさいよ、と言っていつもの力強い笑顔で2人を見送った。だがその夜遅く、隣の部屋からすすり泣く声が聞こえたのを、俺ははっきりと覚えている。

そしてルカとルキが留学でここを発ってから半年、カイトが単身赴任となった。赴任先は海外。カイトは一言、ごめんと呟いてから、カイコと2人、ここを後にした。
そしてこの広い家には、俺とリンとメイコ姉だけになってしまった。

どうして、どこから、こうなったんだろうか。なあ、帰ってこいよ、メイト兄。あんたがいなくなって、メイコ姉は1人で泣くようになっちまったんだよ。はやくはやくはやく、帰ってこい、帰ってこないと、


春がきた。
メイコ姉は、冬になる前にふらりと居なくなってしまった。警察に捜索願は出したが、一向に見つかる様子はないという。



そして誰もいなくなった








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