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毛利くんと離れない


毛利くんが苦手だ。
いつも難しそうな顔をしているし何かとイライラしている。
特に長曾我部くんと話しているときは綺麗なお顔を崩されていて、横で見ているだけでもハラハラする。しかし長曾我部くんはなにも気にしている様子がない。気にしてくれよ。
授業が終わりいつも通り長曾我部くんが毛利くんのところにまでやってくる。
私の席は毛利くんのすぐ隣のため、彼らの話し声は筒抜けである。私が毛利くんとかと話すことはあまりないのだけど。

「おい、聞いたか毛利! 次の時間席替えだってよ! 」

そうなのだ。次の時間はようやく席替えである。
思えばこのクラスになってから早数ヶ月、何度か席替えをしているはずなのにことごとく毛利くんの隣になってしまう。いや、別に嫌なわけではないのだ。毛利くんは頭が良いからたまに授業中に助けてくれることがあるし、教科書を忘れた時なんかは文句を言われることなく貸してくれた。
隣のクラスの伊達くんが借りに来た時は舌打ちをしていたが。
別に毛利くんに嫌なことをされたわけではないのだけど、威圧感があるというか。顔が綺麗なのも姿勢が常に整っているのもあるのか、とにかく落ち着かないので、早く毛利くんの隣から解放されたい。

「どうすんだよ毛利! みょうじと離れたら寂しくな、」
「それ以上騒ぐな、喧しい。そもそも貴様は何故休憩になる度に我の元へ来るのだ。読書の邪魔だ、去れ。」
「いーじゃねぇかよー、ダチだろー? 」
「なった覚えはない。貴様が心配するようなことも決して起きぬしな。」
「は? 何だよそれ。」

また横で毛利くんがすごい顔になって長曾我部と騒ぎだしている。やはり綺麗な顔の人が怒ると怖い。



「う、嘘だろ……。」
「なまえまた毛利くんの横じゃん、良かったね、勉強教えてもらえるよ。」
「もうここまで来たら付き合っちゃえば? 縁あるんじゃない? 」

ありえるーと笑う友人たちを横目に席を移動した。こんな不思議な話あるんだな。少しげんなりしながら席に着くと、毛利くんと目が合った。

「……よろしく。」


毛利くんがこんなこと言ってくれるのは初めてかもしれないな。