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アーサーに殺される!


「本田くん助けて!!!!!」

突然教室のドアがガラリと開いたと思ったら
焦った表情をしているなまえさんが入ってきた。私はというと日直の仕事である黒板消しの真っ最中だった。突然名前を呼ばれて驚いた拍子に黒板消しを落としてしまい、まわりに埃が舞う。上履きとズボンが汚れてしまった。はぁとため息をつきたいのを我慢し、汚れを手で払いながら声の主の方は顔を向けた。

「こんにちは、なまえさん。今日もお元気そうですね。」
「あ、本田くんもしかして今怒ってるな? その様子を見るに今黒板消しを落としてしまったんでしょう、チョークの粉ってなかなか落ちないんだよね、鬱陶しいよね。」

何故ここに来たのか要件も伝えずひたすら話すなまえさんにひたすら笑みを向ける。相変わらず慌ただしい。もう後少しで授業が始まりそうだったため黒板消しを持ち直して作業を再開した。

「……で、どうしてここまで来たのですか? 」
「そう! そうなの! 本田くんだったらきっと何とかしてくれると思って! 助けてください! 」
「袖を掴まないでください、何があったのですか。」
「何がって、アーサー! アーサーが私を追ってる! 私このまま彼に捕まったら殺される! 」
「ええ、一体どういうことですか……あ。」
「なまえ! よかったここにいたんだな! 急に走り出したからどうしたんだと思ったんだよ、ほら、早く教室戻ろうぜ。」

なまえさんを迎えに来たのはちょうど話していたアーサーさんだった。二人して遊んでいるだけなのだろうか、そう思って彼を見ると、彼の手には何やら黒い物体があった。

「あ、アーサーさん、それは……。」
「あ? スコーンだが。」
「ああなるほど……。」
「助けて本田くん。」
「なんで菊の後ろに隠れてんだよ。」
「なんでって……ねぇ? 本田くん? 」
「ははは。」
「オラ、早く食わねーと次の授業始まるぞ。」
「食べたら次の授業どころじゃなくなるよ。」
「あんだとコラァ?! 」
「まぁまぁ二人とも落ち着いてくださいよ、ほかの方が心配そうに見てますから。ほら、後3分ですよ。」
「あ、菊も食べるか? これ。今日いっぱい作りすぎてさ……。べ、別になまえに食べて欲しくて作ったわけじゃないからな!」
「善処します。」

なんと分かりやすいツンデレでしょう。アーサーさんはどうやらなまえさんのためにスコーンを作ったらしい。アーサーさんは以前からなまえさんのことをお慕いしているようでしたし、それで彼女にスコーンを作ったようだった。アーサーさんに限ってそれは逆効果なんですが。

「本田くん、私最終兵器であいつに殺されんだ。今日は私の命日だよ。」
「おやおや、とりあえず薬だけ渡しておきますね。」
「え、ほ、本田くん、助けてくれないの?! 」
「生憎もう授業が始まりますので。」
「そんなー! 鬼! 畜生! この微笑みは幻かーー! 」
「ちょ、そんな体をゆすらないでくださいよ。」
「イチャイチャしてんじゃねぇぞバカァ! 」


無情にもチャイムが鳴り、私は後ほど黒板消しをできていなかったことを先生から注意を受ける羽目になった。 ああなんと理不尽な。