喜多




俺の彼女は変態です。変態の中でも割と上位に食い込むくらいに変態です。いや、あちら世界は広くて猛者や玄人も多いらしいから下位なのかもしれない。まあ、兎に角として彼女が変態であることには変わりがないのだ。いつも頻繁に女性に絡んでは胸がどうとか要らないことを報告してくるし。今日はやけにテンションが高いなぁ、と思って理由を尋ねると案外可愛らしい理由が返ってきました。「ハロウィンだからだよ!」成る程、部員からお菓子をたんまりと山賊の如く奪い取れるから、嬉しいんだ。少しは女子らしいところもきちんとあるのだなと少し考えを改めようと思ったところ、それを否定してきた。「違う違う〜一番、悪戯できるからだよ」「選択肢無し?!悪戯オンリー?!」何か色々違った様子。若干の嫌な予感を交えながら、一応名前に尋ねてみた。一番重要な所、悪戯とはどの程度の物なのか。名前は、いつもはやや無邪気さや童心を兼ね揃えた笑みを浮かべるのにこの日はそれら全てが影を潜めていて、息も凍りそうな程生ぬるさを持っていないことを口にした。「性的ないたずr「アウトだ」やっぱり変態だった。義務教育の中学生同士そんなこと許されるわけがないだろう。といつもあれだけ諭しているのにも関わらずこれだ。



「大丈夫」「何が大丈夫なんだ?」俺をなだめすかすように大丈夫だと連呼してヘラヘラ反省していない風に笑って見せた。「一番限定で無差別とかじゃないから安心してよ」「うーん、無差別じゃないのは良い事なのだが、少々安心できないな」確かに無差別にやられたら俺の心とかも大ダメージ必須だし、変態で済めばいいけれど俺の名前に対する態度とか色々変わってしまいそうで怖い。流石にこんなんでも俺は彼女を愛していることには変わりがないのだ。彼女の細くて白い指先が俺の手に絡まってきた。それは一つの合図に思えた。「例えばその、悪戯というのはどの程度の物を指し示しているんだ?」本当に本当に彼女の言うように、性的だというのならば俺は全力疾走でこの図書室から足音なども気にせずにバタバタと脱兎の如く逃げ出すだろう。接触が許されるレベルの物ならば考えるつもりだけれども。先ほどの笑みや行動から察するに何となくだけれどそれを考えるのは愚かしい事だと思えてならなかった。それでも一応尋ねたのは、名前はそこまで行っていないと内心で思いたいからだ。



「一番にちゅーするんだよ。だから要らないの。お菓子」勿論お菓子はとても魅力的だし、皆から巻き上げて来たいほどに素敵な物だけれど。それを取るなら性的な悪戯の方が素敵でしょう、って童心を含んだ笑みと言うよりも少々大人びた少女の顔で笑って見せた。「な、ちゅ……、」俺の頬がどんどん、もみじ色に染まっていくのを感じる。もじもじとどうしようかと計り兼ねていたところ誰もいなくて閑散としている寒々しい、図書室の一角に俺を追い詰めて頬や喉に柔らかな手のひらをするすると滑らせた。滑らかな肌触りのそれが心地いいと思うにはさほど時間は要さなかった。「だって、一番真面目だから。私だってたまには恋人らしいことしたいよ」だから、ね。俺はそれを聞いて、全てを悟った。名前の手を払って、俺から顎に手をかけた。手順とかそういうのは知識の中だけでしかも抑制していたもの。いずれにしても彼女は、変態と肩書きよりも先に可愛らしい砂糖菓子の女の子だったと気が付かされたのだ。現にその証拠に俺と同じもみじ色に染めた頬を両手で覆いながら「有難う」と呟いて抱きしめてきた。どうしよう、俺の変態な彼女可愛い。



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