浪川




色々考えた。そりゃーもう、一週間以上前から彼の欲しいものはなんだろう、と授業中も考えてみたり、お風呂場の中でぼんやり考えてみたり、寝る前に考えても見たりしたのだけどさっぱり何がいいのか思いつかなくて、何も買わずクリスマスという一大イベント当日になってしまったのだ。買う気がなかったわけではない。勿論それとなーく探りも入れてみたのだが感が鋭い彼はそんな私の心を見透かしていたらしく「何もいらねぇ」と言われてしまい、蓮助の欲しいものは結局わからずじまいだった。(要らないもの買っても仕方がないし)それで、仕方なく今日、蓮助の欲しいというものを買おうという決断に至った。最初からこうすればよかったんだ、とすっかり我が部屋に慣れ親しんでいる蓮助を見て思ったのだ。



「俺の欲しいものがわからなかった?」
怪訝そうな顔をしながら「いらねぇっつたじゃねぇか。大体欲しい物なんかねぇし」と呟き、蓮助が足を崩してリラックスする。初めて遊びに来た当初は遠慮していたのに、最近は良くも悪くもそれがなくなった。
「えー、でも蓮助に何かあげたいじゃんー。後でなんか買うから、選んでよー。お願いー」
「そんなに言うなら、適当にうまい棒でも買えばいいじゃねーか」
答えるのが面倒なのか、適当に私のことをあしらい始めた。しかし、蓮助自身は用意しているようで海王指定の学校用カバンから丁寧に、ラッピングされたプレゼントを出した。
「絶対に蓮助にも選んでもらうからね!有難う」
「へいへい」
これまた、適当な返事。中身は何なんだろうなぁ、と見ていたら蓮助がプレゼントを手渡そうと手に取った。



そして、プレゼントを私に手渡す寸前で止めた。いわゆる、寸止めと言う奴だ。私はお預けを食らったらしい。蓮助を見上げると蓮助は何を思ったのか、シュルシュルとラッピングされていたリボンを自分で解く。解き終わった真っ赤な長いリボンを私にかけてくるくる巻いた後にきつくない程度にリボン結びを作った。何がしたいのかがさっぱりわからず、無抵抗で眺めていたら蓮助が滑らかな動作で私の顔に顔を近づけておでこをこつんとくっつけた。
「プレゼントは名前がいい」
うまい具合にリボンが絡まっていて身動きが取れずにいたらそのまま、唇が吸い寄せられるようにくっついた。



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