隼総




クリスマス当日は(私を含めた)彼氏の居ない友人達と夜まで遊ぶ予定だったので、この行き成りの電話には本当どうしたものか、途方に暮れていた。だって、電話に出るなり行き成り「今日、予定あるか?どうせ、独り虚しくクリスマスだろ?俺が一緒に過ごしてやってもいいぜ」だったのだから。行き成りそれでは、私も返事に困ってしまい「はぁ?」と大きく口を開いたまま無言になってしまった。



『おい、黙ってねぇでなんとか言え』
電話の主は苛立ったような乱暴で偉そうな声で、私の都合や予定など知ったことか。と言うような思考が透けて見える。彼はいつも周りから持て囃されているからなんでも自分の思い通りになるなどと思っている節がある。ついでに私は彼のことを特別に持て囃したりしていないので嫌われていると思われる。だって、そういう偉そうな奴ってなんか嫌だ。



「煩いなぁ、今日は友達と遊ぶ予定があるんだよ。じゃあ、切るからね」
何とか苛立った声に反応してやると、チッとか舌打ちが雑音交じりに聞こえてきた。とんでもない男だ。何故、こいつと過ごさなきゃいけないのか、まずわからないし。舌打ちされる理由もわからない。なんでも思い通りになるとか思っていたら大間違いだからな!
『まさか、俺との予定よりそっちを優先するつもりか?』
「何言っているの、あんた。先約が優先に決まっているでしょうが、常識的に考えて」
こいつは、少し非常識らしい。
『この俺がお前と過ごしてやるって言っているのに。もっと素直になれよ』
「過ごしてくれと頼んだ覚えがありませんねー。彼女と過ごせばいいでしょ」
『……とにかく、そっちは断ってこい。準備して待っていろよ』
「はっ?!ちょ、断れるわけがない……って、先に切ったのか……あいつ」


彼女のくだりはスルーされて、そのままブチッと切られてしまった。私が意見を言うよりも先に。はいはい、プリンスさんは本当とんでもないくらいに自分勝手ですね。友達に断りのメールなんていれたら、怒られるんだろうな「友情より男を取ったな!」って。まあ、彼氏じゃないんですけどね。




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