三途




サッカー部の練習が終わるまで私はボーっと突っ立って時間を無駄に過ごしていた。怠惰で無意味のようなその時間は、ようやく部活が終わった三途の声によって終わりを告げた。
雪なんかよりも白い、血色の悪い肌色に私が瞳を細めた。たまに、三途がサッカー中に倒れるんじゃないだろうか、と心配しているのだが……。
「お疲れ様」
私が労いの言葉を言うと、三途が礼を言って歩き出した。私も三途に合わせて歩く。毎日毎日、部活が大変な彼を見て、私は運動部に入っていたら過労で倒れていたかもな。と思う。そんな、私は部活には入らずに気楽な帰宅部員だったりする。因みに掲げている言葉は「私たちには帰る家がある」だ。それを言ったら友達は爆笑していた。だって、こんな日にも関係なしに部活あるんでしょう?そんなの嫌だよ。私だったらこんな寒い日は家から出ずに、家でのんびりごろごろしていたいね。



「名前、寒かった?」
私を心配するように頬に、白い手のひらをぴたっとつけた。確かに外で待っていたから寒かったが。私には素晴らしい人間の知恵の産物かいろを持っていた。だから、三途の手のひらのほうがよっぽど冷たかった。血が通っているのか、と心配になるほどに。低体温らしい。
「ぎゃっ!冷たいっ!三途、かいろ、使う……?」
私の使いかけだけど、暖かいよ。と三途にかいろを手渡そうとしたが三途は「いい」と拒否した。
「名前の手のほうがいい」
私の右手を掴んで体温を奪うように包み込んだ。心配になるくらいに冷たい。こそばゆい雰囲気に少し苦笑しながら私は思い出したように鞄からチョコを取り出した。
「忘れていた。はい、三途これ」
三途は愛しげに瞳を細めた。三途のこの顔が一番好きだったりする。
「……有難う。名前、好きだ」
「ん、私も……」
気恥ずかしそうに瞳を、閉じると三途の冷たい唇が触れた。



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