鍾会に嘘ついた!




このたび、私は嫁ぐことに成りました。とほらを吹けば鍾会殿が飲んでいた茶をぶぅっと書物の事など気にせずに吹き出してしまった。それからごふごふといつも顔色が悪く咳き込んでいらっしゃるあの方の様に咽てしまったのだった。「大丈夫ですか、鍾会殿」「馬鹿か!お前はっ!茶を飲んでいるときにそんな大事なことを報告するなど、阿呆か!いや、阿呆だったな!」等と捲し立て、落ち着かない様子でそわそわと書物を片付け始めた。それは先刻、読み始めたばかりの書物ではないですか、と咎めれば煩い!と一喝されてしまった。



「で、相手は誰だ。まさか、旧式とは言うなよ」「まさか」あの方は鍾会殿とは違う魅力にあふれていますけれどと賞賛すれば、私より優れているはずがないだろうあの旧式がと罵り始めた。いつもの事なので、半ば聞き流し。「大体、私の許可も無く勝手に嫁ぐなど、あり得ないだろう。普通はそのような話があれば真っ先に私に話すべきだ。私は貴様の、上官なのだぞ」「はぁ、そうですけど。トントン拍子に話が進んでしまいましてね、私も驚いているところなんですよ、相手もよくわからないのはこのご時世当たり前ですけれどもね」「なっ……!よく知りもしない男の元へ嫁ぐのか!お前はそれでいいのか?!」



鍾会殿、今日は熱でも御有りなのでしょうか、先ほどから何処か可笑しいように感じます。動作も言動も、忙しなくて私が付いていけないのです。「今から、断りに行くぞ。私が居れば、そんな縁談、直ぐに破棄できる」別にお前の為ではないぞ、私の書物を運ぶのも茶を入れるのもお前が一番だからだ!なんてくるくる、癖のある髪の毛を弄り言った。ああ、私は鍾会殿のお役にたてているのかと、ほっとしたのと同時に安堵も覚えた。それから、私はすぐに「嘘をつきました」と言った。



それからの、私は酷い目に遭わされた。まずは何処から嘘だったのかを説明させられ(根本から嘘なのだが)何故そんな嘘をついたのか問いただされ、座れと座らせられ(椅子に座ろうとしたら、床に座れと言われたので仕方なく正座した)一日中無駄に説教されたのだった。嘘などとやはりつくものではないですね。


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