青空の下で | ナノ

「にっししー、奇襲成功したってばよ!」
「へへ・・・イルカ先生、予想通りだったよね・・!」
「おう!あれってば爆笑もんだってば!」

げらげらと悪ガキ二人組は、火影岩の真上で高らかに笑っていた。
いつの間にか、火影岩は二人が悪戯が成功した時に来るスポットと化していた・・。
ひゅう、と涼しく吹く風が二人の頬を撫でる。

「んー、いつ来てもここは眺めがいいってばねー」
「うん・・」

ここからだと、里を見渡せる。
一般人も忍の者も、ここから見れば一目瞭然・・イルカ先生で言う教卓みたいな場所。
ナルトとロクは揃って四代目火影の顔岩の上にいた。

「俺さ、俺さ!」

すたっ、とナルトが座っていた姿勢から綺麗に飛んで立ち上がる。

「いつか絶対、火影になってやるんだってば!そんでそんで、俺を馬鹿にしてる奴らみーんな見返してやるんだ!」

ここに来ると、必ず彼が言うこと。
自分に言い聞かせているようにも見える言葉。
しかし決して彼女は飽きることなく、毎回同じ返事をする。

「うん・・信じてる」

ナルトは必ず火影になれる器だよ、と。
お世辞なんかじゃない、信頼しきった目で彼女は言う。
その瞬間が一番、彼の心が喜んでいるのをロクは知っているのだろうか。
世界はナルトを、まだ受け入れられない・・受け入れてくれない。
世間の目と言うのはいかに節穴なのか、と。
自分が登場人物になってから里のいい部分も嫌な部分もはっきりと見えてきた。
悪いのはナルト、だから虐げる、だなんて・・子供から見ても幼稚な理由ですこと。

今のこの世界は間違ってる

里の内部をちょっとしか知らない子供にしか言えない、
里は小さな私の世界でもある。
だからこそ、目に見える世界が嫌な感情で溢れているのを見るのは辛い。
それが、彼に関することならなおさらだ。

「じゃあ・・ナルトは火影になったら他に何するの・・?」
「え?んー、そだなあ、ラーメン全部タダにしてもらうとか?」
「ふふ・・ナルトらしいなあ」

他人のことが憎い、と
ナルトは私の目の前で言ったことはない。
憎しみでしか生きられなかった、彼のライバルとは本当に真逆。

「じゃあ、火影になったら・・イルカ先生にラーメンずっとおごらないとね。恩返し」
「あっそうだな!毎日おごってあげるってば!先生喜ぶかな」
「喜ぶ喜ぶ」
「へへっ。そん時はロクにもおごるってば!」
「・・ありがとう」

眩しい程に純粋な、向日葵のような金色が、
火影岩にあたる夕焼けとあわさる様はとても綺麗に見えた・・。

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