青空の下で | ナノ

「ナルトー」
「なんだってばー」
「・・約束してたよね、いつにしようか?」
「へ?」

二人だけの帰り道。
私の問いにナルトはきょとんとしていた。

「ほら・・言ったでしょ・・?今度は、私がナルトの家にお泊りしたい、って・・」
「あ・・」

忘れもしない、
私がナルトを守りたいと思ったあの日のこと。
・・なかなか、家族の予定も合わなかったりするから言い出せなかったが・・。

「それか・・また、泊まりに来てもいいんだよ・・?今度は、お父さんも一緒に、とか」
「ええっ・・いいんだってば?」
「もちろん!」

ヨシノさんも、シカクさんも、ナルトをきちんと思ってくれる。
そんな立派な人だから。
えっとえっと・・と、悩みだしたナルトの子供らしい姿がかわいらしい。
・・普通の子供らしい生活、それすらもナルトは過ごせていないのだ。
愛情を与えられない苦しみは、多少なりとも理解できているつもりだ。
四代目と、クシナの代わりになれるような人は、ナルトの周りには少ない。
いいや、代わりになんてなれやしない・・それ程までに二人は大きな存在なのだから。
一時の慰みくらいしか今の私にはできないが、何もせずに見ているだけの輩にはなりたくないから。

「・・お父さんの予定、あったらまた誘っても大丈夫・・?」
「お、おう!いつでも大丈夫だってば!」

早くもそわそわしているナルト。
九尾のことさえなければ、きっと彼も普通に暮らせたのに・・。
だが、九尾の子でなければ彼は彼ではない・・ひどく重い運命を背負わされることは既に決まっていた、なんと悲しいことなのだろう。
それを乗り越え強く成長することが、四代目から与えられた試練でもある・・同情心というのはかえって失礼か。

「なあ、なあ」
「んー・・?」
「・・明日も、一緒にお昼食べれるってば・・?」
「・・全然いいよ!」

金色の子は嬉しそうに微笑んだ。





この小さな背中が、
いつか火影の衣を纏うようになるまで。
私は背中を押していきたいな。




ロクはぽん、とナルトの背中を叩いた。

「なんだってばー」
「ううん・・なんでも?」
「なんだそれ」

くすくすと小さく笑いあう声。
今はただ、彼にのしかかる苦しみが少しでも軽くなりますようにと祈るしか出来なかった・・。

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