青空の下で | ナノ

「・・・!その鹿・・」
「ああ、こいつか?ちょっとさっきそこで見かけたんだけどさ・・」
「かして」

何が何だかわからなくなった上の沈黙を破ったのは、キバの腕の中にいる鹿を目にした自分だった。
小刻みに震えて、明らかに様子がおかしい。
よく見ると、その足に怪我をしていた。

「こいつ、怪我してたんだ。でも、俺達何の道具も持ってなくてよ・・・一旦森の外に出て看病しようかって思ってたとこなんだ」
「・・・そう、だったの・・」

そっ、とその小鹿の頭を撫でる。
ひどく痛そうな様子だ・・。

「・・ちょっと、詳しい話は後に・・・・・その子、抑えてて・・・」
「え?あ、ああ・・・」

キバに、地面にそっと座るようにお願いして、ロクもすとんと座る。
す、と小鹿にかざすロクの手、シノとキバの視線を感じた。

(チャクラを・・集中させて・・・!)

ブン、と自分の両手がチャクラの色をまとった。
二人が少し驚く中、ロクはこの前の修行を思い出しながら、医療忍術を発動させる。
何かに引っかかったのだろうか、大きな切り傷が小鹿の足に刻まれていた。
チャクラを流し込む一瞬、小鹿は痛がって身体を揺らす。
だが、そこはキバがきちんとおさえてくれたので治療は続けられた。

「・・・・ふう・・・」

これでよし、と。
チャクラを止め、傷口から手をどける・・・・小鹿の足は、綺麗に元通りになっていた。
おー、とキバの声が頭上でする。

「すげえな、お前」
「・・・奈良家の、娘だからね・・・!」

にっ、と微笑んでみせた。

「・・・・ところで、話を戻すけど・・・・二人はどうしてこんな所に・・?」

小鹿を抱いていた理由は分かったが、何故森にいたのかの理由は聞けていない。
怪我が治った小鹿をキバの手から受取りながら聞く。
その言葉でシノはキバを睨みつけるかの如く、キバはシノの視線にうっと言葉を詰まらせた。

「い、いやあ・・・・実はさー、俺、こないだ赤丸と散歩してた時、この森見つけてさあ、
修行に丁度よさそうだなあって思ってさ、そんで・・・」
「・・お前の言うことを安易に信じるべきではなかったな・・・」
「うううっせーよシノ!お前だって、俺が話したら蟲がとれそうか?とか聞いてきたくせに!」
「・・・俺の、失敗だ・・・キバの言葉もよく確認もせず目先の利益だけに・・」
「あーもう!そういう言い方やめろよ俺だけが悪いみたいじゃねえか!!」
何故か、この前の演習のサスケとナルトを思い出した・・・。

「・・で・・」

結局どうしてここにいるの?
若干呆れかけた声が二人にもう一度聞いた・・・。

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