青空の下で | ナノ

どうして、こんなところに侵入者が・・。
考えながら人影が移動する様子を気付かれないようにこっそりと追った。
・・奈良の薬が目的なのだろうか?
だが、木ノ葉の里にも一般人向けの物ならば奈良の薬は流通している、
何よりこの森に来れた時点で、忍という確立は高い・・・そうなると希少価値が高い薬が目的なのだろうか。
ここいらで鹿の角による特別な薬剤製法をしているのは木ノ葉を探してもこの奈良一族だけだ。

「・・・」

人影が、きょろきょろと木の枝の上で止まって首を動かした。
気付かれたか?
木の陰に隠れ、少しだけ覗き込む。
・・・・ここからだと、逆光でその侵入者の姿がよく見えなかった・・。
だが、その腕の中には何かが抱かれていた。
・・何なのだろうか、あれは。もしかしてここから盗み出した物かもしれない。
そうなると余計にこの森からは出させてはならない。
チャキッ、とポーチの中にいれていたクナイを後ろ手に取る。
侵入者が油断している今なら。

(!?)

ふいに後ろから感じた嫌な気配。
ブゥウン
大きくなった音と共に、私の身体に何かが当たった。

「うわあ!」

何か、黒いもの。
肉眼で見えるそれは大きな音を出しながら私の身体を地面に倒す。
からん、と手の中からクナイが滑り落ちた。

ブゥウン・・・

目をこらして自分の身体を見ると、その音は・・羽音。

「な・・・・蟲・・・!?」
「てめーか!俺らの後つけてやがったのは!」

統率されたように動く黒い霧のような物体の正体は蟲だった。
・・この蟲達、私のチャクラを奪っている・・・?
一瞬何が何だか分からなくなって、声のした方をそのまま振り向いた。

「・・・・・・・あ」

木の上から降りてきたのは、一人の少年だった。
両頬にあるペイント模様、
頭の上にのせた小さな犬、
そして、何故か手には小鹿・・・。
小さくともその姿はすぐにあの者を連想させた。

「キバ?」

何故か、彼がそこにいた・・・・。

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