青空の下で | ナノ

電気が消えた、小さな小さなベッドの上。
生前は引き籠った上何回も徹夜してたんで、当然の如く目はらんらんです。
赤ちゃんって、こんなに早く眠らなきゃいけないもんでしたっけ。

(・・・・奈良・・・・ロク・・・・)

私の胸につけられた可愛いネームプレートには、私の新しい名前。
どういうわけか、死ぬ前の記憶はだいたい残ってるんですけど、私の前の名前だけは頭の中を幾ら探しても見つかりませんでした。
神様が消してくれたんでしょう、新しい人生の為に。
と言うより、何で消えたのが名前だけなんですか神様さん・・・。
私の死んだ時の歳、十八ですよ十八。
精神年齢十八の赤ちゃんなんてただただ気持ち悪いだけでしょう。
あ、でもシカマルはIQ200以上あってどこかお爺さんみたいな性格だったし、案外子供らしくなくても大丈夫ですかね。
・・・・・て、やっぱり私がここにいる以上シカマルはこの世界にはいないんですよね・・・。
NARUTOの世界に来れたのは嬉しいけれど、主要人物が一人欠けるのは寂しくて。

奈良家の長女、奈良ロク

それが今の私、それがシカマルの代わり。
環境の変化には慣れるでしょうか、チャクラとかどうやって使えばいいんでしょうか。
そもそもつい最近まで女子高生だった奴が忍になんてなれるんでしょうか。




『・・・・・さよなら・・・先生・・・・』




(ああ、そう言えば・・・)

最愛の師を、彼は亡くした。
私にとっては紙の上の出来事でしかなかったけれど、彼にとってはとても辛いこと。
確か、あれは暁の飛段のせいで・・・・。
ぎゅ、と知らず知らず手を強く握っていた。
・・・・私には大切な人なんていなかった、最終的に死んだのは私だけだった。



彼のことが、本当に羨ましかった



頭がいいのに、それを見せ付けることなく。
私だって勉強では負けたことはなかった、皆に認めてもらいたかったのに、全然うまくいかなかった。

彼は賞賛された、天才だと。
私は見下された、天才だと。

言われたことは同じことだったのに、意味は真逆で。
人付き合いのうまい彼に、私は羨望の瞳をいつの間にやら向けていたんでしょう。
・・・・私が、シカマルという人物の代わりに成れた理由が、分かった気がする・・・・・。




ならば、頑張ってみせましょう
彼が生まれてこられなかったこの世界で、
彼の代わりを一生懸命つとめましょう
彼が出来なかったこと、そして、




思いを継ぎましょう





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