青空の下で | ナノ

確かに私はナルトが好きだ。
けど、決して恋愛感情を含んだ"好き"などではないと思う。
ただ守りたい、支えたい、
その思いは同じく、悲しい運命に巻き込まれたサスケにも言えること。
・・・そう、まるで・・・。

「まるで、お母さんみたいだね・・ロクちゃんは・・」

ぽつぽつと私がナルトについて話しているとヒナタが言った。

「そう、かな・・」
「うん・・・すごく、優しいから・・・きっと、ナルトくんも、ロクちゃんのこと好きなんだと思うよ・・
私は、そんなに立派な考え、思いつかないもの・・・ナルトくんが、皆からひどい目に合ってるのは知ってた・・
でも、私に出来ることなんてほとんど無いから・・・だから、ロクちゃんがすごくうらやましい」

淡々と話すその様。
彼女の本心を垣間見ることが出来た。

「くのいちクラスでも、ロクちゃんは、他の女の子とはどこか違うもの。
すごく大人で、すごく賢そうで、そんな風に見えるの・・・だから、一度お話したいな、って・・ずっと前から思ってたの・・」

きょとんとする自分に気付かず、ヒナタは話続ける。

「・・・私ね、実習も、あまりうまく行かなくて・・・お父様からも、嫌われてるかもしれないの。
何をしても全然うまくいかなくて、そんな自分が嫌で、でもどうにも出来なくて・・」

そういえば、彼女には五歳年下の妹がいた、と今更ながら思い出した。
・・・・彼女の妹、ハナビもとうに生まれて大きくなっていることだろう。
となれば、ヒナタにとってこれからはかなりつらい時期であるかもしれない・・・。
大きくなった妹、自分より才能のある人間に向かう期待、
自分は家に必要とされていないかもしれない・・・そんな不安が、今彼女の中で渦巻いている。

「・・・だからね、ナルトくんにも、ロクちゃんにも・・・憧れてた・・
私には出来ないことを全部出来ているから・・。
ナルトくんは、諦めずに努力をしてる、ロクちゃんは、いつも成績一番だし・・うらやましいな、って思ってたの、ずっと・・・
それに比べて、私は・・・何も出来なくて・・」

しょんぼりする顔。
考えるより先に私の口が出ていた。

「そんなことないよ」
「・・・え・・・・?」
「・・そんなことない、ヒナタだって私には持ってないものを持ってる・・・
確かに、アカデミーじゃ成績とか態度とかも色々いわれるかもしれないけど・・じゃあ実践はどうだって言われたら、私は何も出来ないと思う・・
忍として大切なものを・・・私なんかより、ヒナタは素質がある・・・そう思ってる」



だから、自分を嫌うことだけはしちゃだめだよ?



「う・・・うん・・・・ありがとう・・・!」

ようやくヒナタの笑顔が見れたと思うと、改めてうれしくなった。

>
- ナノ -