青空の下で | ナノ

「日向って漢字はさ、日に向かう・・って書くよね」
「うん・・」
「その"日"っていうのは何だと思う?」
「え・・?」

私は明るく道を染める夕焼けを指した。

「・・・あれだよ、お日様・・・今は沈みかけてるけどね」

木ノ葉の里を照らし、輝く存在。

「私ね・・・ナルトは、いつか木ノ葉を明るく照らす日の光・・・火影になる、って信じてるんだ。
これから先も、絶対にこの気持ちだけは変わらないと思う・・・。
火の国をずっとずっと照らして、悲しいことも苦しいことも全部吹き飛ばしてくれる・・・そんな存在にナルトはなれると思うんだ」
「・・・うん・・・ロクちゃんの言ってること・・すごくわかる・・」
「でしょ・・・?」

彼が日なら、
私は影に、月に・・・そんな存在になって彼を支えたい。
そう、ずっと思っていた。
元々私達の術は戦闘もそうだが、補助として役立つことが多いのだ。
見えないところでも、彼の支えに、力になりたい。
影に生き、影で助け、影となり見守る・・・
それが影使いとしての役目でもある、といつかシカクさんが言っていた。
今の私の理想の生き方を体現した一族の元に生まれてこれたことを嬉しく思う。

「・・・日向ヒナタ・・・いい名前だよね・・・。日に・・・ナルトに向かう、彼の支えとなれる・・・君からは、そんな感じがするんだ」
「えっ・・そ、そんな・・・私なんかじゃ・・」
「それにね・・・"ヒナタ"って、漢字で書くと"日向"って表されるの・・。
すごくいい名前って君は思わない・・?ナルトを好きになって、ナルトに向かって一直線、
ナルトの支えになれる・・・そんな未来を表してるような名前だと私は思うよ」

ナルトから多くのものをもらって、私達は生きてる。
勇気、諦めないど根性、人を思いやる心、
彼といて安らぐことは多い。だから自然と私はナルトにひっついてしまうのかもしれないな・・。

「・・・日向に、ヒナタが・・君が生まれることは、そして生まれてナルトに出会うことは・・・絶対な運命だったんだと思うよ・・
だからこそ、君は諦めちゃいけない。私なんかよりずっとずっと可能性があるのはヒナタ・・・君だと思うから。
こんなところで自信をなくしてちゃ・・・ナルトに振り向いてもらえないかもよ・・?」
「・・・そうだ、ね・・・!ありがとう・・ロクちゃん・・!」




ナルトの支えになれる存在。
そんな子と出会えた今日、私も何かが変われたのだろうか・・・・・


















「あっ、あのっ・・・な、ナルトくん、だよ、ね・・・?」
「ん・・?お前誰だってば?」
「わ、私・・・く、くのいちクラスの・・日向ヒナタ、って言うの・・・!ご、ごめんね・・・よかったら、私と・・・・お友達に・・・!」

少なくとも、彼女は一歩、また一歩前進していくのだろう。
後日、盗み見をしながら思った。



(さーて・・・私も頑張らないといけないな・・・)



これから先も、色々な出会いがあるだろう。
同期のルーキーだけでなく、担当上忍、そして強敵の者。
それに釣り合うよう、確実に力をつけていかなければ、とてもナルトを支えることなんて無理に等しいだろう。

火の国を照らす太陽

彼は・・・ナルトはなくしてはならない里の希望だ。
九尾事件のことだって、これから色々知って・・・挫折することもあるかもしれない。
だからこそ、私は強く在りたい。
あの日、ナルトを守りたいとこの胸に誓ったのだから。



日向者と日陰者、
まるで真逆の者達が出会えたからこそ、この先の未来に繋がっていく。



ロクはそう信じることにして、その場から去った・・・。

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