青空の下で | ナノ

「うずまきナルトくん、って男の子、ロクちゃんなら知ってるよね
いつもいつもすごく元気で・・・私、ナルトくんの姿を見る度に元気になれる。
そんな気がして・・最近になってようやく気付けたの。
あ、あの・・・出来るなら、お友達になりたいな、って・・・思って・・・
でも私、アカデミーにはほとんどお話する相手もいないし・・男子クラスに行くのも、ちょっと怖くて・・・」
「なるほどね」

ヒナタがナルトに好意を持っているのは既に知っていた。
おもりをはずしたように、普段の彼女からは想像もつかないくらいスムーズに話す。
それ程までに想いを溜め込んでいて、吐き出せなかったのだなと思った・・。

「・・それで、私はどうしたらいいの・・・?」

彼女が言いたいことはわかってた。
けれど私はあえて彼女に促す・・・ヒナタはおどおどしながらも、まっすぐ私の目を見つめていた。



「あ、あのね・・・その・・・ちょっと、相談に乗ってほしかっただけなの・・・・」



「・・・それだけ・・?」

予想していた答えと、違う。
私は少し間抜けな声を上げた。

「う、うん・・・・ご、ごめんね・・・!私、本当に、くのいちクラスでも話せそうな子がいなくて・・・・
皆、ハキハキしてるし・・・私みたいにうじうじしてないし・・・話しかけたら迷惑かな、って思ってたの・・
でも、ロクちゃんにだけなら・・・話せるかな、って・・思って、それで・・」

てっきり、ナルトと友達になりたいから、私を仲人的な存在に立てるんじゃないか、と可愛らしくない予想をしていた。
彼女は消極的で、この頃はまだ勇気もほとんど無い筈だったから、驚きは少なからずあった。

「・・だ、だめ・・・だった・・・?ご、ごめんね・・・!」
「・・・・ううん、ただ、ちょっと予想外だっただけだから」
「え?」
「いや・・・てっきりね、ナルトに、自分を紹介して、とでも言うのかな・・・って思ってて・・・」

すごく失礼な話だが、私が今のヒナタだったならそうしていた。
近づきたい人がいる、でもなかなか近寄る勇気が出ない。
なら、どうすればいいか?
その近付きたい人と仲がいい人物に仲介をお願いすれば一番の近道だ・・それが私。
ドベコンビの愛称の広まり具合は恐ろしく早かっただけに・・・。

「えええっ、そ、そんなこと・・・言わないよ・・・!
た、確かに・・・私、すごく臆病で・・こうやって人と話すのも、今もちょっと怖いくらいだけど・・・
自分の言葉で話しかけることが、その・・・目標、だから・・・!」

ぽろり、と目からうろこだった。
・・・・私は彼女に対してとんでもない誤解をしていたようだ。
臆病、消極的、そんな態度に隠れてて見えなかった彼女の本心を見抜けていない。
彼女は本当に、ただ相談相手が欲しかっただけなのかもしれない。
だってこんなにも純粋な目をしているじゃないか・・・。

(・・・・あー、だめだ・・・穢れきってる・・・私・・)
「?ど、どうしたの・・・?」
「う・・・ううん・・・なんでも・・・?」

生まれ変わっての合計精神年齢。
もしかしなくても年をとるごとに、子供らしさからどんどん離れていっているのではないだろうか。
自分は相当考え方がひねくれているな、と改めさせられた・・・。

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