青空の下で | ナノ

その日のアカデミーもいつも通りだった。
黒板と絶妙なハーモニーを奏でるチョークの音で見事に寝入り、スズメ先生に廊下に立たされ、
同じタイミングでナルトも廊下に立たされていて、二人して授業脱走後にイルカ先生に捕まり説教をくらうコース。
すっかり私達二人はアカデミーのドベコンビ、という称号が定着しつつあった・・。
また新しい出会いがあったのは、そんな時。






―第9話 日向者日陰者―






「あ、あ、あの・・・ロク、ちゃん・・だよね・・?」

おびえるような、消え入りそうな、聞き取るのも少し苦労しそうなそんな声。
授業終わり、今日もまたこってりと先生に絞られた後荷物を取りに来た教室に、彼女はいた。
白い瞳、黒い短髪。

「・・・ヒナタ・・?」

そう、日向一族の日向ヒナタがそこにいた。
視線を右へ左へさせているところを見ると、かなり動揺しているようだ。

「えっ、あ、ありがとう・・・私のこと、知っててくれたんだ・・・!」
「同じクラスだし・・・当たり前だよ・・」

困ったような照れ笑いを浮かべる彼女に私も微笑んだ。
・・・元々、彼女の存在を忘れていたわけではない。
入学当時からその姿はアカデミーで何度も見かけたことはある。
ただ、話す時間が合わなかっただけ。
話題が合うことがあれば友達のお誘いでもしてみたい、そう思っていた矢先のことだった。
まさか消極的なヒナタ本人から私に近づいて来てくれるなんて嬉しいことがあるだろうか。

「・・・どうしたの・・?こんな遅くまで残ってるの・・・珍しいね」

そうでなくとも、自分が帰るのが遅いのが例外なのだ・・。
原因は授業態度だとわかりきっているが反省する気は毛頭なくむしろ最近は開きなおる勢いだ。
私が言うと、ヒナタは手をもじもじと動かし続けた。

「あ、あの・・・その、ね・・・ロクちゃんと一緒に、帰りたいな、って思ったから・・・・」

ぽっ、と照れた表情はとても可愛らしいもので。
だるそうに荷物を乱暴に背負ったロクは、そっか、ありがと、と小さく言ってヒナタと共にアカデミーを出た。

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