青空の下で | ナノ

そして、空が完全に真っ暗になった頃。

「「ご馳走様でしたー」」
「はい、明日もアカデミーなんだから、早くお風呂は入って寝なさいね」
「「はーい」」

まるで、初めから兄弟だったみたいに息の合う返事をする私達。
その後はほぼ勢いでお風呂場へ・・・・みたいな感じだった。
・・・・・子供のノリだからこそ、こうも簡単に混浴とか出来るのだろう・・ナルトもあんまり気にならないみたいだし。

「いってーっ!!」
「・・・目、開けないでって言ってるのに・・・」

ナルトの頭を洗ってあげるが、どうしたらシャンプーハット被ったまま目に入るんだろうか・・・。
ざっ、とお湯をかけながら・・・どうしても視線がいってしまうなと思った。
さっきの出来事なんか、ナルトにとっては日常になってしまったんだ・・・そう思わざるを得ない、身体についた幾つもの傷。
かすり傷程度から、完全に何かに切られたようなひどいものまでついていた。

「・・・・これ・・・痛くないの・・・?」
「へーきへーき!俺、怪我はすぐ治る方だし!」
「・・・それも、あるけどさ・・・」

やはり九尾の回復力のお陰なのか、触れても痛がる様子は無いけれど。
ずき、と胸が痛むような心地だった・・・。

「・・・・ねぇ」

一緒に湯船につかりながら、私は聞いた。

「・・・・いつから、あんなこと・・・されるようになったの?」
「・・ずっと、前から・・だってば・・・」

生まれた時から忌み嫌われていたというわけか。
・・・どこの世界にいようと、こういう出来事があるなんて反吐が出る。しかも、相手はこんなに子供なのに。

「・・・・とりあえず、一人で抱え込むのとか・・・やめてほしい。私とナルトは・・・友達でしょ?隠すより、相談してくれた方が・・・嬉しかったな」
「で・・・でもさ、でもさ!」
「ん?」
「・・・・そ・・・相談、とかしたかったのは本当だったってば!でも・・・さ、したら・・・さ、ロクまで・・いじめられるって・・思って・・・」

しゅんと下がった眉、俯いた顔。
・・・・自分が虐げられて、一番辛い筈なのに・・・・そんな中で、他人を・・・私のことを、考えてくれていたんだ。
ナルトに不安を与えないよう、ふ・・と微笑んだ。

「・・・そんなの、心配しなくていいよ・・・。それに、私だって・・・・いじめられたこと、あるから」
「えっ!?」
「あ、いいの。もう、今は大丈夫になったから・・・慣れたから。いじめられるのも、嫌われるのも・・・慣れちゃったから。
だからいいの、どんどん相談して」

経験者語る・・・とは、こういうことだったっけか。

「で・・・・でも・・・」
「・・・本人がいい、って言ってるんだから・・・遠慮とか、大丈夫。それに・・・もし、そのことで・・・私がいじめられても、絶対ナルトのせいだとは思わないよ」
「え・・・?」
「だって、そうでしょ?ナルトは、何も悪いことしてないんだから。だったら・・ナルトが何しようが、大丈夫なんだよ。だから、気にしないで」
「ロク・・・」
「それに・・私は、ナルトが笑ってる顔が好き。泣いてる顔は・・・見たくない、の。だから・・・辛い時は相談して欲しい・・・」

ぱしゃん
ナルトの手を取る、水が少しはねた。

「ね。約束してくれる・・?何かあったら・・・私にも、辛いのとか苦しいのとか分けて頂戴。君の・・・・助けになりたい」

驚いた表情、開いたけどすぐ閉じてしまった口、少し俯き気味の顔。
でも、ナルトは私の言葉をきちんと受取ってくれた。




・・・・ありがとう・・・・




その言葉に「よろしい」と言って頭を撫でた・・・。


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