青空の下で | ナノ

・・・・という成り行きで。

「うわー・・・」
「・・・・うん、散らかっててごめん・・・」

ナルトは今現在、私達奈良家に来て・・・・いや、強引に連れてきましたというか。
そんな彼は、この私の部屋の本棚を見てぽかんとしている。

「すっげぇ・・・お前ってばこれ全部読んでんのか?」
「う、うん・・・」

へー、へー、と関心しながらも目は釘付け。
・・・・本棚には、子供の部屋には似つかわしくないものばかり・・・。
将棋の本から薬の調合術、暗器や術の指南書、巻物がどばっと溢れ出しそうなくらい、ぎっちぎちに詰め込んであるのだ。
ちなみにベッドの上も机の上も似たようなもので、読みかけのそれが散らばっている。
・・・はっきり言って、小さな女の子の住む部屋ではない・・・可愛らしいぬいぐるみも花も無い。
改めて見ると本当に子供らしいことが出来ないなぁ・・・。

「な、な、これは?」
「ああ・・・・それは、風遁とかの基礎。自然を利用する術の、巻物」
「んー、じゃあさ、こっちは?」
「これは・・・・中忍レベルの術だよ・・。まだ、私も使えないけどね・・」

巻物を指差して聞くナルトに簡単に答える。

「へー!すんげぇもんばっかだってば!!」
「ん・・・お父さんが、使ってた物をね・・・もらったの」
「いいなー、うらやましってばよ!」

そう言ってナルトが一本の巻物を取り出そうとする。
ぐぐっ・・・

「?抜けないってば?何か詰まってる?」

あ!その巻物は!

「ナ、ナルト・・・ちょっとストップ・・・!」
「へ?」

ぽんっ!

(あ)

なかなか抜けなかった巻物が抜けた。
瞬間。



どどどどどど・・・



「「うわわわわわわわわわ」」

・・・二人して、雪崩のように落ちてきた大量の本の下敷きになった・・・。

「いっててててて・・・!な、何だってばこれ!」
「は・・・ははは・・・・ごめん。今、ナルトが抜いたの・・・この本棚の支点って言うか・・・・無理矢理・・・詰め込んでたから。
一個でも抜いたらバランス悪くなるっていうか・・・」

最近すっかり"片付けられない女"が代名詞になってきたような気がする。

「か、片付けくらいきちんとやるってばよぉ・・・」
「な、ナルトに言われたく、ないよ?君の家だって・・・絶対散らかってるでしょ・・」
「う」

よっこいせ、と巻物を拾いながら立ち上がった。
とりあえずざざーと集めてまたも適当に本棚に入れる。

「・・・で?」
「?」
「・・巻物、何・・・見たかったの?」

そう言うと、ナルトは苦笑して。

「・・・・分身の術のとか、あるってば・・?」
「ああ、それなら・・・・・はい。これだよ・・」
「さんきゅ!教科書見ても全然分かんなくて・・・」
「・・・・でもこれ、内容はアカデミーの教科書より・・・・ややこしいよ・・?」

びたっ
・・・・ナルトの巻物を開いた手と目が固まった。
まぁ、一世代前の物だから・・・・子供に分かりやすい文とか漢字とかは一切無いので。

「・・・・読んであげようか・・」
「お・・・お願いするってば・・・」

晩御飯まで、もう少し時間はあるのだから。
私は見慣れた文字をゆっくりと読み上げた。


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