青空の下で | ナノ

「ねぇ、見た?あの人達の顔・・・」
「最高だったってば!ざまぁみろって感じだった!」
「そう、よかった」
「ロクと、ロクの母ちゃんのお陰だってば!」

泣き顔はどこへやら。
実に楽しそうに語るナルトと私・・・・あぁ、何故かSに目覚めそうな予感・・・。
ふと、視線を感じて振り向くと・・・不思議そうな顔をしてこっちを見ているヨシノさん。

「ロク・・・・いつの間に、その子と知り合いになってたの?」

そういえば、まだナルトのことは話していなかった。
ナルトは私と繋いでいた手を慌てて離し・・・ヨシノさんから目を逸らした。
・・・・おいおい、さっきのざまぁみろはどこへいったんだい・・・。
私は少し苦笑しながらも、その手を強引に繋ぎなおした。

「ううん・・・・ただの、知り合いじゃないよ。お友達、ね」

照れくさそうに私から視線を逸らした。
うーん、この時期のナルトはシャイだなぁ・・・将来と比べると若干新鮮。

「・・・・そうなの。娘と仲良くしてくれて、ありがとうね」
「え?あ、いや、そのー・・・・俺ってば・・・あの・・・」

ヨシノさんは、分かってるよ・・・と語っているような優しい目でナルトを見ていた。
そして、ナルトの頭をなでなでと笑顔で・・。
その瞬間、ナルトの顔に驚きと嬉しさが出たのを見逃さなかった。

「えらいえらい。よく逃げ出さずに喧嘩したわね」
「へ・・へへ・・・そ、そうだってば!俺、弱虫なんかじゃねーもん!」

くす・・と、ヨシノさんと二人で笑った。

「あんたもよくやったわ、ロク。あれでこそ奈良家の娘よ」
「・・・お母さんも、さっき、ありがとう・・・」
「ああいうのはほっておけない性分でね、つい血が上っちゃったわ!」
「は・・・はぁ・・・」

流石、恐妻の名は伊達ではない・・・。
気も度胸もそこら辺にうろついてる男の人より強い、間違いなく。

「・・・と。あなた、うずまきナルト・・・だったわよね?結局お買い物出来てなかったし・・・・晩御飯、どうするの?」
「「あ」」

そこで私達は顔を見合わせた。
・・・・頭に血が上ってたから・・・・ナルトがするであろう買い物の存在がすっぽり抜けていたのだ・・。

「・・・・ご、ごめん・・・ナルト・・・」
「い、いいってば!俺だって途中から忘れてたし・・・また、家でカップラーメンでも食べるってば!」
「あら、駄目よ!成長期の子がそんなもの食べてたら!」

ナルトの食生活は大半がカップラーメンか一楽のラーメンだ。
第七班の自己紹介時にも、それしか語ってなかったような・・・とにかく、ラーメンが好きなのだ。
・・・・野菜の割合はとてつもなく少ないが。

「まぁ、しょうがないわねぇ・・・」

ヨシノさんは持っていた買い物袋の中身を見せる。
あれ?
・・・・買ったお魚って、二人分じゃあなかったっけ・・・?

「今日、旦那が出かけてていないんだけどね・・・買いすぎちゃって。よかったらうちで食べていかない?」
「「え」」

にっと笑うその表情。

(・・・まさか、お母さん・・)

あの時買ってたのは確かに私達の分だけ。
・・・・て、言うことは・・・ナルトと私が追いかけっこしてる間に・・・?

「お母さん、ありがとう!ナルト、来なよ・・・私の家!」
「え?で、でも・・・」
「大丈夫、迷惑じゃないよ。むしろ・・・歓迎するよ!」

私達より、九尾と里のことを知っている大人の一人。
里には、常にナルトの情報が出回っているに決まっている。
家族構成とか、生い立ちとか・・・・私以上に、ヨシノさんもシカクさんも知っているんだ。
ナルトに両親がいないことも知ってるから・・?
こんな、嬉しいこと!

「・・・と言うか、もう泊まっていきなよ!晩御飯・・・食べたら、もう夜遅いと思う、し・・・。ね、お母さん」
「そうね。あなたの友達なら大歓迎よ」
「わーい」
「え?え?」

最終的には当人そっちのけで決めていた。


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