青空の下で | ナノ

「すみませーん、鮭の切り身を二切れ下さい」
「へい、毎度」

夕闇迫る空の下。
商店街で魚屋さんと話しているヨシノさんの後ろで、私はきょろきょろしていた。
こういう所の人の多さ、賑やかさは前世で見たところと変わりない。
・・・商店街もいいけれど・・・いつかは歓楽街にも行ってみたいものだ・・・。
忍具を売る店、忍術書を売っている店、
一般人の利用が多いこちらの商店街とは逆の、忍の姿が見られる場所。
クナイに手裏剣、巻物・・・今はまだ子供だからという理由で、
そこへは行っちゃいけないことになっているが・・・機会があれば変化して行ってみようか。

(あ、イチャパラも買えるのかな・・・)

・・・・何ですかいいじゃないですか。
精神年齢はもう二十以上なんですから別に。
うーん、ぱらだいすの上中下と・・・・・あ、あとタクティクスか。
お小遣い足りるかなぁ。



「てめぇに売る物は無ぇよ!とっとと出てけクソガキ!!」



若干呆けてた私の頭は突如聞こえてきた大声により急激に冷えた。
ぐる、と声が聞こえてきた方を向く、私だけでなくヨシノさんも、驚いた人はみんなそちらを向いていた。
声を荒げる店主がばっばっと手で追い払う先、その店から出てきたのは一人の子供だった・・・。

「・・・っ!」

それを見て、胸が、苦しくなった。


ナルト


間違いない、今店から追い出されているのは・・・あの子・・・!

「・・・何だ、びっくりしちゃったわ」
「何事かと思ったよ」
(・・・・え?)

今の様子を見て、周りがそう言って元に戻ろうとしている。
何事かと思った、って・・・・何?
これが・・・・・・ナルトがこうなるのは、何事でもないってわけなの・・?
酷い。
幾らなんでも、酷すぎるよ・・・九尾の人柱力ってだけで・・・こんなにも避けられなくちゃならないなんて!

「ナルト!!」

柄にも無い大声で、ナルトを呼んだ。
今度は周りの目が私に向く番だった。

「・・・・何よ、あの子」
「しょうがないだろう、子供なんだから知らないんだよ」
「やだ、どんな教育してるのかしら親御さんも」

うるさい。
うるさい、うるさい・・・・私は、知ってるんだ!
あの子の中に九尾がいることも、そのせいで憎まれているってことも・・・・・あの子は何もしていないのに!
私はあんた達みたいなものでいるつもりはない。

「ナルト、ナルト!どうしたの!?」
「・・・っ」

たっ、とナルトは私から逃げるように走り出した・・・。

「・・・お母さん・・・ごめん。ちょっと待ってて・・・!」

私はその後姿を追って行った。


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