青空の下で | ナノ

辺りが夕焼けの色に染まり始めた頃・・・・ロクは、この日の修行を切り上げた。

(・・・・四つんばいはきつかった・・・)

影縛り修行、流石に我が家の可愛い鹿達に二足歩行なんて無理強いはさせたくなかったので。
逆にこっちが四足歩行になって負担を掛けない程度で鹿に影縛りをかけたのだが。
やり終わってみると腰が痛いし肩が痛い・・・・とんとん、と背を叩きながら奈良家に戻ってきたところだ。

「ただいま・・・」
「お帰りなさい、今日もお疲れ様ね」

ヨシノさんはあら?と、小さく声を上げた。

「ロク、父さんはどうしたの?」
「あ・・・・。修行中に急に・・・任務が入っちゃって・・・。明日までには、戻ってくるって・・・」

大黒柱であるシカクさんに来る任務はかなり多い。
ヨシノさんと二人だけの食卓の時は、上忍班長という立場の大変さを感じてしまう。

「あら、そうなの?夕飯のお買い物手伝ってもらおうと思ってたのに」
「・・・荷物、少しは持てるよ・・・?」
「ありがとう。そうね・・・・二人だし、今日は大きな買い物はやめとくわ。そう重くはならないしね、一緒に行きましょうか」
「うん」

母さんと買い物、
父さんと勉強、
全部、記憶には無い暖かな場所。
この世界で、この家族で時間を過ごす度・・・嫌な思い出は少しずつ塗り替えられていく。

「・・・・今日の晩御飯、何・・・?」
「昨日はお肉だったからね、今日はお魚にしようと思うの。ロクは何が食べたい?」
「うーんと・・・・シャケ、食べたい・・・」
「よし、じゃあお買い物してきましょうか」
「うん」

私は、お母さんと一緒に出かけた。


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