「忍法、影縛りの術」
ゆらり・・・と、シカクさんの影が動いて・・・私の影と繋がる。
途端に私の身体は金縛りにでもあったかのように、動けと思っても全く反応しなくなった。
「・・・っとまぁ、これが奈良家秘伝の技だ。とりあえずやってみろ」
「うん、お父さん」
解かれた術に、すぐ組んだ印の真似をした。
―第7話 君を守る為に―
今日はアカデミーがお休みの日。
シカクさんの任務が無い日と重なると、実に有意義な一日になる。
それが今の状況、奈良家私有地の森の中で修行の日。
「忍法・・・影縛りの術!」
私達、奈良一族しか使えない秘伝の術。
血継限界の特殊な印を組み、チャクラを地面に流し込むイメージで溜めた。
ぐにゃ・・・と、影が大きく歪んで正面に伸びる。
やったかな?と思いきや・・・・シカクさんとは比べようにならない程、伸びる距離は短かった。
「・・・・ぬぬぬぬぬ・・・」
もっと伸びろ、と念を送るが影はぷるぷると震えて・・・どうやらこれ以上伸びないらしい。
私は印を解いて影を戻した。
「ま、初めはこんな物だ。まだ小さいし、チャクラの量もお前は足りないからな」
「・・・はーい・・」
「そうがっかりすんなって」
ぽん、とシカクさんの手が私の頭の上にのった。
「初めてで影動かせりゃ上出来だ、よくやったよ。流石俺の子だ」
優しくて、大きな手のひらだった。
親子って言うのは、こういうことなんだなぁ、と。
照れて真っ赤になった顔を必死に隠した・・。
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