次の日。
「あー、いたいた!ひょっとしてあの子が?」
「うん・・・そうみたいだね・・・」
私といのは、サクラの元へと向かっていた。
勿論、いのが用意してくれたあの赤いリボンを持って。
『昨日は行ってみようとか言っちゃったけどさ・・・あんた、サクラって子がどこにいるか分かってんでしょーね・・』
『うん・・・まかせて』
確信なんて無かった。
けど、いじめられてる子なら・・・・私なら、どこに行きそうか考えて、いのと一緒に歩いた。
子供が行きそうで、人の数が極端に少ない場所。
そんなところは、アカデミー周辺では限られている・・・・そして、案の上予想したところにサクラはいた。
・・・座り込んで、顔を俯けている姿を、見つけたのだ。
なるべく足音を立てないように気を付けて、彼女へ近寄る。
「うえーんうっうっ・・・」
近付くにつれ、泣きじゃくる声が大きく聞こえてきた。
分かるよ、いじめられてすごく辛かったんでしょう。
大丈夫、
君も変われるよ・・・絶対に。
「あんたいつも"デコリーン"ってイジメられてんのねー」
「!」
いのがサクラの前にしゃがみこんで話しかける。
長い前髪ごしに見た顔は、涙で濡れていた。
「・・・だれ?」
「わたしはー、「山中いの」ってーの。そんでこっちが」
「・・・・奈良、ロク・・・。君、春野サクラ・・・だよね?昨日、授業中会ったの・・・覚えてる・・・?」
私がそう言うとサクラは少し顔を上げてくれた。
「ふーん、なるほど。あんたおでこ広いからデコリーンね・・・」
つん、といのがサクラのおでこを小突く。
「それで前髪でおでこかくしてんだー、ゆーれーみたいに」
「うっうっ・・・」
また、からかわれるのだろうとでも思ったのだろう。
サクラの嗚咽が余計ひどくなった。
「・・・っとー。誤解しないでよー?あたしら、あんたいじめに来たわけじゃないんだから!」
「そうだよ・・・私達・・・サクラと、お友達になりたいなぁ・・・って」
「・・・え?」
じゃーん!といのがあの赤いリボンをサクラの目の前で見せる。
「ほら、これー!可愛いでしょー」
「・・・・お近づきの、印だよ・・・」
「ね、今つけてあげる!きっとあんたに似合うわよ!」
私達に戸惑うサクラに、心配ないよと苦笑した・・・。
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