青空の下で | ナノ

「おー・・・・やっぱり、すいてるね・・・」
「予想当たってよかったわー!さ、とっとと探すわよ!」

花畑があるエリアは思った通りすいていて。
私といのは早速花畑にしゃがみこんで採集を始めた。

「あったー!これ、こっちに薬になりそうなのたくさんよ!」
「うん・・・こっちも、対になるあれ・・・・見つけた」

やっぱりここに来て正解だったようで。
森では見つからないような花がわんさかと。

(・・・・これは・・・簡単な解毒薬・・・・こっちは・・・)

普段からシカクさんが作っている薬・・・・奈良一族には薬の知識が豊富だ。
奈良家の娘として、そこはしっかり教わってます。
どの花にどんな効果があり、逆にどんな効果を敵にもたらすかは熟知しているつもり。
いのにも、負けず劣らずな方だと思う。

「あ・・・・あのっ!」
「?」

ふいに後ろから聞こえてきた声・・・いの、の声とは違う。
・・・・・私に声をかけるような女子なんて、いの以外いないはずなんですが・・・。
くるっと振り向くと・・・・そこには一人の女の子の姿。

(・・・あ・・・・この子・・・・)

桃色の髪をしていた女の子の名前はすぐ分かった。
・・・・春野サクラ・・・・。
残念ながらその目は長く伸ばされた前髪のせいで見えない。

「・・・あ・・・・あの・・・その・・・。わっ、私・・・毒草探してて・・・でも見つからなくて・・!だ、だから、その・・」

しどろもどろしながら彼女が指差したのは私の採集ケース。
何を言いたいのか分かった私は、ケースを開いて差し出した。

「・・・・いいよ・・・採りすぎて、結構余っちゃいそうだから・・・」
「いいの!?あ、ありがとう・・!」

サクラは嬉しそうに、けれどおどおどしながら私の毒草を受け取った。

「あ、ありがとう」
「・・いいの、頑張ってね・・・・サクラ」

私が名前を呼ぶと、彼女は「え!」と驚いて。
少し俯くと、そのまま背を向けて走っていった・・・・。

(・・・流石に、まだ壁・・・・あるよね)

どうして名前を知ってるの?とでも、言いたげな顔をしていた。
・・・そんなこと、当たり前でしょう。
クラスメートなんだし、何より、サクラ自身も・・・。

「ロクー?今の子誰なのー、知り合い?」

ぼーっとしていた私は、いのの声ではっとした。


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