青空の下で | ナノ

がさがさ・・・
ごそごそ・・・
ぶちっ!

「あー・・・・また毒草・・・」

とりあえず、渡されていた採集ケースの中にそれを入れる。

「ロクー、そっちどうー?」
「うん・・・・なかなか、薬草がね・・・いのの方は・・・?」
「んー、駄目ねー・・・このエリア、思ったほど薬になる花とか無いのよー・・」

がさ、と茂みの向こうからいのの姿。
その手には似たような毒花が何本もあった。

「・・・・・それ・・・確か、忍花鳥兜・・・?」
「そうよ、よく知ってんじゃない。ここら辺毒花ばかりで気分悪くなっちゃうわ」

はいと手渡された鳥兜。

「・・・あ、あまり触んないで入れたほうがいいわよ。それ、根っこに毒があるからさ」
「う、うん・・・・」

そう言われたことに気をつけながら、そろりとケースの中に入れる。

「やっぱり、いのは詳しいね・・・・お花」
「まぁね。無駄にパパのお手伝いしてないわよ」
「・・・・花言葉とかも分かるの・・・?例えば・・・この鳥兜とか・・・」
「知ってるけどー・・・毒花の花言葉、誰に贈っても感謝はされにくいと思うわよ・・・」
「・・・・冗談です・・・」

ぱんぱん、と土を払って私も立ち上がる。

「場所・・・・移ろうか」
「そうした方がいいわねー・・・ここにいたんじゃ課題クリアは無理よ」
「・・・・どこ、行こうか・・・・」
「とりあえず花畑の方行ってみましょ。そろそろうっとおしい人数も減ってるでしょ」
「そうだね・・・」

くのいち・・・・女の忍を育てるクラスだとしても、この年頃の子はまだ女の子を捨て切れてない。当たり前といえば当たり前だが。
なので、グループ行動開始時に他の女子皆は花の綺麗さに負けてずーっと花畑にいたのだ。
流石に大勢集まってる場所で採集はやりづらい・・・と、私といのの二人は森での採集を優先中だった。

「・・・・・花なんて見てて、皆楽しいのかな・・・」
「あんたがズレてるだけよ・・・普通の女の子ってのはねー、誰だってお花には興味持つものよ」
「・・・・そういうもの、なの・・・」

枯れるくらいならまだ造花の方がましだと思うけれど・・・・・花屋の娘さんの前では流石に言えなかった。


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