青空の下で | ナノ

目を閉じると、さぁと気持ちいい風が頬を撫でた。
涼しい木陰の下、木の葉の擦れる音が優しく聞こえる。
・・・・何だかんだ言って授業をさぼったけど・・・・さぼってする昼寝というのもなかなか格別なものですな。
うとうと、少し舟をこぐ・・・・お陰様で早寝は得意技。
ま、毎回スズメ先生に怒られるんですけどね・・・・・・。

(ん・・・?)

いきなりぐっと近付いていた気配にぱっと目を開けた。
至近距離に、ナルトの顔。

「どわっ!!」

そして、その姿が思い切り後ろにコケて、尻餅をついた。

「・・・・何・・・・してるの・・・」
「おっ、お前、起きてたのかよ!!おどかすなってば!」
「・・・・・驚くのは・・・私、の方だと思うけど・・・・」

まぁ、妙に落ち着いていられるのは精神的におねえさんなんで。
ちなみに姉じゃなくて姐の方が私にはしっくり来ると思います、どうでもいいけど。

「・・・・お前、さぁ・・・・・さっきのあれ、本当かってば?」
「?さっきのあれ・・・?」
「だからー、その・・・俺を、いじめない・・・・とか。先生に言われて来たんじゃない・・・とか」
「本当、だよ。君に、嘘ついて・・・何の得があるの・・・?」
「・・・っけど、皆、俺のこと平気でさ・・・!」

私に敵意が無いことをナルトは納得してくれたみたいで。
それから、ナルトは口数を多くしてくれた・・・・でもそれは、どこかナルトが自分自身に言っているような気がして。
まるでナルトは大きな独り言のように、その言葉を宙に浮かせていた。



皆はナルトのことを名前で呼ばない、化物と呼ぶ
皆はナルトを避ける、大人でも子供でも
皆はナルトに願う、消えてくれればいいのにと



「・・・・だから、私のことも・・・信用出来ないんだね・・・」

段々と声が震えてくる様子に・・・嫌なことを思い出しているんだと分かって。
泣いているようにも見える、ナルトの姿を目に映すのが辛くなって。
慰めるように、そっと抱きしめた。

「・・・・私は、君に何もしない。信じられないなら・・・・・このまま、ずっといてあげる」

ああ、今ここにいるのは私だ・・・・・昔の私、だ・・・・。
寂しくて、信じられる人がどこにもいなくて、苦しくて。

「・・・・ね?だから・・・もう泣かないで。ナルトは、男の子なんだから・・・」
「な・・・泣いてなんか、ねぇってば・・・!」

ようやく口をきいてくれたナルトは、急いで涙ぐんでいた目をこすった。
私はくす、と微笑んだ。

「そうだよね・・・・ナルトは、強いもんね・・・。きっと、目にごみが入ったんだ・・・そうでしょう」

ナルトは一瞬きょとんとした。
けど、すぐに苦笑しながら「おう!」と答えた。


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