「まあ、そう固くなるな」

一向に伏せたまま緊張で顔をあげられぬ私にお館様はおっしゃりました。

「し、しかし・・」

おそるおそる、出した声は震えていて。

その日、いきなりの宗家様からの呼び出しに心臓を今にも握り潰されそうな程の緊張感が私を襲いました。
嗚呼、
私は愚図な一面が多々目立つと、亡くなった父母にも言われたことがありました。
もしかして、叱られるのではないか。
朝からそのことばかりで胸がとても痛いのです。

「お、お館様・・かのこは・・私めは何かお気に召さないことをなさってしまったでしょうか」
「はは、やっぱりお前は亡くなった親父にそっくりだなあ」

お館様とかしこまって呼ぶくせがあいつにはあった、と。
微笑んだお顔に、私も少しやすらぎました。






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