「いやお前今日から宗家で暮らしてもらうから・・・」
「え・・・・ええええええ!?」

三度も、
三度も、若様のお手に抱えられて・・・!
お館様の屋敷に戻ってきた時、意識は朦朧としそうになりました。
この顔は見せるまい、と・・早々に分家へと戻らねばと、踵をかえそうとしたその時でした。
若様に手をつかまれて、
そう、おっしゃられたのです・・!

「言ったろ、俺には時間が少ないって。まあこのタイミングでお前誘った方にも問題はあるけどよ・・。
アカデミーの卒業試験は来週の今日だ。入れ替わるのにちょうどいいタイミングは、合格した後の説明会の時。
直前まで影武者の存在をにおわすわけにはいかねえしな、こんな急な事態になってんだ」

「だから、それまでの間、俺を再現するためにお前には宗家泊まりでずっと俺の傍にいて学んでもらう」
「は・・・は、はい・・・!」
「まーとどのつまり食うのも寝るのも風呂も一緒ってこった、よーく見といてくれよ、影武者さん」
「・・・!!!」

ああ神様、
これは、私めの汚い下心を、試しているのですね
捨てなくては!このような気持ち捨てなくては!
若様にはお綺麗な方がご友人にいらっしゃいます、
私めなんぞ、若様の目には石ころとして映って・・いいえ、それ以下の存在なのです・・!

「・・・話聞いてたか?」
「はっ、はははは・・はい・・っ!」
「お前無意味にびくびくしてて面白いよなー」
「とっ・・・とんでもない・・」
「ほれ、また。その癖なおしとけよ」
「・・はい・・!」

そして私は、その日から、
宗家様のお屋敷で暮らさせていただくことになったのです―――






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